2021.03.16

「相楽木綿(さがなかもめん)作品展」を楽しむ~京都精華町・けいはんな記念公園内

藍染めの紺地にカラフルな色糸の縞(しま)と絣(かすり)を織り込んだ、明治期モダンの絣織り。途絶えてしまっていた手織りの木綿を復活伝承している相楽木綿伝承館。春恒例の作品展にお出かけしてきました。(相楽木綿オリジナルマスクと活動紹介のブログはこちら

京都府南部の精華町、けいはんな記念公園水景園は回遊式日本庭園。そろそろ終盤に差し掛かった梅の花を眺めつつ、デッカイ観月橋を渡った先の建物・観月楼内のギャラリー月の庭が、作品展の会場です。

相楽木綿マスク姿で迎えてくださったのは、「相楽木綿の会」&「相楽木綿伝承館」の代表・福岡佐江子さん。今日もステキな自分手織りのお着物でシュッと。「京都府からいただいた指定無形民俗文化財の指定書、ちゃんと額に入れて飾ってるんですよ」と案内されて・・・。

おぉ~~。すばらしい!秋に相楽木綿マスクの取材に来たときに見せてもーた指定書。額に入ると一段と価値があがったような。けどほんまにスゴイ。ハギレ資料だけしかないとこから、10年で無形文化財にまでしはったなんて。「京都府の府民だよりで広報してもらったので、初めてのお客さんも来てくれはったり、ありがたいです。」いえいえ、こんな協力ぐらい・・って、京都府リタイアした私が言うことでもないけど。「京都市内の和装ビジネスの人も来てくれてとても興味持ってくれはったり。何かよいカタチでつながりができるとうれしいです」と福岡さん。そっか、公的に認められるってスゴイことなんや。そーやねぇ、女子たちの活動はどんなに有意義で素晴らしいもんでも、府庁組織の中では悔しいほど評価低かったもんなぁ。現役時代にもーちょっとやりよーがあったのかも・・って府庁を離れたからわかることやし、しょうがないか。

会場入ったところに展示されてた相楽木綿作品製帳。「2004年から2019年、復元してきた相楽木綿の記録帳です。これでまた次につないで行くんですよ」と。大切にしたい歴史です。

展示されてる作品は、伝承者育成の機織り教室、初級、中級、上級、専科、研究科コースの方々のもの。遠くからだとわかりにくいけど、それぞれに個性的な柄が織りあげられています。「12回目の作品展なんですけど、最初の頃は展示する復元作品もまだ少なくて、現存資料なんかを展示してたんです。今では資料展示する場所がないくらいに作品が増えてきました。レベルもぐーんとあがってね」と。

そーなんです、特に来場者の興味をひいていたのが、ずらっと並んだ専科さんたちの着物。初級からずーっと上がってきて3年程を経て専科になると一人前だとか。「こんなん手織りできたらえぇねぇ」とうっとりしてると、「専科さんになってから1年半ほどで織りあげて着物に仕立てる人もいるんですよ。長友さんもやらはったら。ちょうと4月からの初級コースに空きもありますよ」と言われて、ちょっと一瞬頭の中で時計とお財布がクルクル。けど、技術的に私の手に負えるものなのか・・熟考しよう。

奥にディスプレイしてあるのが、福岡さんと田中智子さんの新作。スタッフさんの説明に来場者も聞き入ってはります。

夫さんのジャケットに仕上げはった作品も。中のベストもまた粋な伊達絣。

こちらも伊達絣のがまぐちバック。

窓側のお部屋にもずらりと反物展示。うっとりするばかり。

ギャラリーの階下にある相楽木綿伝承館。大和機(やまとばた)やチャンコ機をバックに田中さんをパチリ。こちらもコイキなお着物。別室でも専科さん2人が機織り中。作品展を見られて4月からの受講に申し込みされてる方もあって。「福岡さんにも受講を勧められたけど京都市内からここまで通うの大変やなぁ」と言うと「神戸から通ってはる方もあるよ」と田中さん。「距離の問題やないね、へへっ。私も欲しいなぁ、田中さんの着てはる着物」「なんなら請け負いましょか」って、えっ、そんな手があるの?今度はお財布だけが頭をクルクル。「補助金が切れてしまった後の継続もそろそろ考えんとねぇ。技術者育成からさらにその先を」と。そうですよね、無形文化財の指定もされたことやし、次世代へつなぐ次へのステップにはやっぱりビジネス的な手法も必要になってきますよね。私にも何かお手伝いできることがあるでしょうか。

10周年記念作品のカードいただきました。こんなん自分で織れるようになるとうれしいねぇ、やっぱ。

相楽木綿伝承館の開館は、日、月、木、金、10時~17時。手織りや糸紡ぎ体験は要予約。伝承者育成の機織り教室は、初級、中級、上級、専科、研究科のコースで、毎年4月に初級コースがスタート。相楽木綿マスクや小物類の販売もあります。