2021.09.08

京都祇園、老舗和菓子屋さんの小さな美術館へお出かけ~「ZENBIー鍵善良房ー」&「ZEN CAFE」

京セラ美術館を訪れた際、開館記念特別展と書かれたチラシを入手。「新京都百景」と題した今と昔が交錯する、ちょっと不思議な絵が気になって詳細を見てみると、祇園の老舗の和菓子屋さん「鍵善良房(かぎぜんよしふさ)」の美術館オープン記念らしい。祇園なら近い、これは行かねば、と、さっそくお出かけ。

国道1号・五条通のちょっと北、平安時代の五条大路である松原通を東へ。鴨川にかかる松原橋を渡ると、京都の五花街のひとつ宮川町(みやがわちょう)の風情あるまちなみ。この日はあいにくの雨で、先が見えないコロナ緊急宣言続きもあって、ことさら静かな宮川町を北へと上がりつつ東へ折れて、大和大路から四条通のほん手前、見つけました「ZENBIー鍵善良房ー(ぜんび かぎやよしふさ)」。

雨も似合う静かなたたずまい。京都祇園の南側の一角の美術館は2021年1月オープン。そもそも京菓子「鍵善良房」は、江戸の享保年間・1700年頃の創業から約300年、京都の花街・祇園で京菓子をつくり続けてはる、とか。一般のお客さんのほか、茶人や僧侶たち、さらに祇園という場所柄、お茶屋や料亭に出入りしはる文人墨客や旦那衆、加えて花街の女性たちにも広く好まれてます、と自社紹介してはるように、とても由緒正しい。京都らしく敷居も高い・・ってことはないやろけど、茶道をたしなまず、名物の「くずきり」というものがあまり好きでない私には、これまでほぼなじみのないお店。これを機会に、ちょっとお近づきに・・などと。

さて、気になったチラシ。「山口晃(やまぐちあきら)ーちこちこ小間ごと」。ちこちこ、の意味はよーわからんけど、京都五山の送り火の一つ「大文字」の如意が嶽(にょいがたけ)を背景に、滋賀への古道・志賀街道の起点にある子安観音(こやすかんのん)の祠の前にたたずむ旅姿のお兄さん。日本画かと思いきや、まちなみは今現代で、お兄さんの隣には自転車女子。一緒に信号待ちをしているらし。時代劇撮影中の役者さんが休憩中にコンビニへ、ってな違和感はなく旅姿が妙にまちに溶け込んで、信号を渡るとどこかの時代へタイムスリップできるのかしら、ってなワクワクを、感じたり。さっそく入館。

鍵善良房の手提げ紙袋の原画「好きなカフェ―のおじいさん」。2013年制作。このご縁で今回の特別展につながったとか。ほのぼの感がよろしねぇ~、って、ボケててゴメン。原画写真撮れへんかったんでチラシから拡大したもんで。

木工芸の初の人間国宝、木漆工芸家・黒田辰秋(くろだたつあき)の水差し。この「ひねり」が特徴らし。手に取ったら気持ち良さそーなカーブやねぇ。内側の螺鈿(らでん)もステキ。1935年頃の制作とか。祇園生まれの黒田氏と鍵善との縁は、1931年頃、27歳の黒田氏に同世代の鍵善12代当主・ 今西善造が店舗の大飾棚制作を依頼したことからはじまり、ものづくりを生業とする2人は親交を深め、数々の調度を依頼したとか。美術館オープン記念第1弾は黒田氏とのつながり展。今回も第1・3展示室には、くずきり用器や螺鈿の菓子重箱など、鍵善所蔵の黒田氏作品が展示されてました。

山口氏にもどって、新京都百景シリーズ「貴船川床」、2018年制作。八つぁん熊さん、てな感じの左手メインポジションに描かれてる昔姿で向き合う2人と、向こうに描かれてる帽子をかぶった今の観光客、さらにその奥には昔旅姿の人たち。山口氏は日本の伝統的絵画の様式を用いつつ油絵の技法を使って描かれる作風が特徴とか。今回は京都ゆかりの数点の展示やったけど、視点がユニークやし、また機会があればお出かけしたい作家に仲間入りです。

撮影OKの第2展示室にズラリと並んでたのは、山口氏による五木寛之の新聞連載小説「親鸞(しんらん)」の挿画の原画。

「親鸞」「親鸞 激動編」「親鸞 完結編」の三部作とかで、挿画の総数1052点から約500点が4回の展示替えで紹介されるらし。

親鸞、法然などが勢ぞろいしてるし、きっとフィナーレやね。

挿画と文字のイメージらしい。読んだことないんでどーも感動がイマイチ。9月14日~11月7日が後期展示で、親鸞の挿画は途中でも入れ替わるとか。またお出かけするかどうかは別として、この際小説を読んでみることにしました。小説「親鸞」は文庫6冊。そー言えば10年程前に五木寛之著「下山(げざん)の思想」って読んだなぁ。山は登るときより下りが重要、人生も折り返したら着地を見据えてゆっくり下りんと、足元すくわれまっせ、とかやなかったっけ。10年後の今、まさに実践中・・のつもり。

さて、「ZEN CAFE」。2012年のオープンなんやて。モダンすぎて営業中なのかどうかもわからへん入り口やったけど。鍵善のお菓子をぜひ試してみたくて。

了解を得て店内写真をパチリ。雰囲気えぇねぇ~。

糖蜜味のくず焼きの上生菓子「粉引(こびき)」とコーヒーのセット。1200円。あぶってくれてはったとかで、笹にくるまれてちょっとあったかくてもっちり。ふむふむ・・なかなかえぇお味でコーヒーとマッチ。雨の午前、ひとり静かに生菓子を堪能。大人な京女にピッタリ。お気に入りしました。

おっと、カバンに忘れてた。美術館の鑑賞券とともに渡されたお干菓子。菊の花をかたどった2つ入り。お財布に入ってる5円玉袋くらいに小さかったので、つい忘れてしまってました。鍵善の代表銘菓・「菊寿糖(きくじゅとう)」ですって。最高級の阿波の和三盆の一番糖のみを使ってるとか。危ない危ない、入館料1000円の半分くらいやろか・・なことはないか。確かに、なめらかな口どけ。これでコーヒーってのもえぇなぁ、と。「ZEN CAFE」、きっとまたお出かけすると思います。