滋賀県・佐川美術館「エッシャー展」~だまし絵にクラクラ
スケッチする手。手?、あれっ、どっから出てきたんやろ。。琵琶湖のほとり滋賀県守山市・佐川美術館「エッシャー 不思議のヒミツ」展。カメラOKやったし。
《描く手》1948年、リトグラフ。オランダの版画家M.C.エッシャー(マウリッツ・コルネリス・エッシャー、1898~1972)。「三次元的な表象と、紙の二次元性のコントラストが生み出すイリュージョンが鮮やか。・・二重の自己言及を伴った二重のパラドックス・・」説明はなんのこっちゃわからへん。ただひたすら、興味津々。
《昆虫類》1943年、リトグラフ。トカゲが紙から湧いてる。気持ち悪るぅ~。エッシャーさん、「二次元のテセレーションに押し込められたトカゲの退屈する様」と説明。ほほぅ、テセレーションわからんけど、確かにトカゲは退屈してるよーや。動物学の本を踏み台にクルクル回って紙に戻り、退屈したらまた這い出すんやろな、って感じさえする。それにしてもうまいなぁ、手で彫ってはんねんで、影も。トカゲがあまりにリアルやし、気持ち悪いんや。
《平面の正則分割 Ⅲ》1957年、木版。トカゲ絵にもあった、テセレーション。ある図形を使って、すき間も重なりもなく平面を敷きつめること、らし。行進する騎士さんたち、よー見ると、あっち向きとこっち向きの馬に乗った騎士さんがビッシリ。けど白い騎士を見てるときは、赤い騎士は見えへんし、逆もまたしかりは法則なんやて。そー言えば、さっきの紙に描かれてるトカゲ、白、グレー、濃いグレー、すき間なくトカゲやった。テセレーションやん。知ったかぶり。
《空と水 Ⅰ》1938年、木版。魚はどこで鳥になったんやろ。説明文「エッシャーは空・水の要素に立脚したメタモルフォーゼを完成させた。この図は見えない水平線によってきっかり半分に分割され、そこでは黒と白の要素が拮抗している。・・」やっぱチンプンカンプンな私のために、メタモルフォーゼの説明ボードあり。「『変身』を意味するギリシャ語由来の言葉。ある存在が違う性質の存在へと変わっていく過程をさすが、エッシャーのは(訪問したアルハンブラ宮殿の)タイルから着想を得て、変化が連続してつながっていくことから始まった。様々な形が抽象的な形状から命を感じさせる形状へと変身し、また元に戻っていくという世界を生み出した」と。なーる。魚や鳥、手、トカゲは、平面の拘束から脱出して変容したんやな。
《昼と夜》1938年、木版。エッシャーが一般に認められた最初の作品。「飛行機から見たオランダの田園地帯を写生。まず、連綿と続く畑を上手に利用して、そこから幾何学的なモジュールを引き出した。これによって、農地を黒と白の鴨の飛行する様へと変容させることが可能となった」。メタモルフォーゼやん。で幾何学的なモジュール?・・組み立てユニット的な? じーっと見てたら寄り目になることがあるやん、飛行機に酔うけど。そんな感じ?・・全然違うか。昼の田園風景と夜の田園風景、どっかにエッシャーの境界線が。なんかゲーム作ってるみたいで楽しそう。早よ飛行機降りてアイデア試したかったやろねー。そー考えるとちょっとワクワクする。
《出会い》1944年、リトグラフ。第二次大戦中の作品。「グレーの壁面から白と黒の男性の人物からなる複雑なパターンが広がっていく。壁から抜け出して生存しようとする男たちは、出会うことを余儀なくされる。楽観的な白い人物と悲観的な黒い人物が互いに握手しながら」エッシャー談やけど、よーわからん。どっちも好きになれんオッサンらや。
《円の極限 Ⅳ「天国と地獄」》1960年、木版。天使が見える?それとも悪魔? バットマンに見えたらアカンねんな。これまたテセレーション。しかも無限ループ、無限に続く循環のデザイン。こんなん今どきのCGやったらわけないやろけど、この時代手で彫ってはったんやで、ひたすら。精神大丈夫? 大丈夫でなかったんは奥さんの方やったとか。(ブルーはガラスの光です)。ちなみに、外側から描かんとキレイな円にならへんらしでっせ。もう番組TV終了したけど、ぶら美の山田氏解説してはった。エッシャーはミックジャガーからのレコードジャケットの依頼も断わるほどのガンコさやった、とか。
《婚姻の絆》1956年、リトグラフ。エッシャーと妻イエッタの理想の姿。2人のつながった額は、断ち切ることのできない絆を築いている。浮遊する球体は永遠の時と空間の象徴。こんな風にずーっと宇宙を漂えたらえぇね。ロマンやわ。
《滝》1961年、リトグラフ。流れ落ちる水は水車を回し続け、その流れをたどると結局、滝の始点へ戻るという有名な絵。「水車小屋の主は、時々バケツ1杯の水を足すだけでよい。そうすれば蒸発して失われた分を補えるだろう」エッシャー談。「ペンローズの三角形」に着想を得た無限つながり。
《上昇と下降》1960年、リトグラフ。終わらない階段。二次元で可能でも三次元では不可能。会場では一人がずーっと上り下り(?)し続ける動画が見られる。水はえぇけど、人に終わりがないって、悲しすぎ。
《物見の塔》1958年、リトグラフ。超有名な現実世界では不可能な立体。トリックアートやね。
《相対性》1953年、リトグラフ。3つの世界が共存。7つの階段は、見る方向によって正しく見える部分あり。これも人が動く動画あり。つい見入ってしまう不思議な魅力。目がまわる。
《メビウスの輪 Ⅱ》1963年、木版。アリの行列。面は1つです。アリ?・・・焼きが回ったか。
《写像球体を持つ手》1935年、リトグラフ・・の体験コーナー。実際は・・・
こんな感じの自画像。体験に夢中で写真撮り忘れた。ちょーど良かった、案内板ついてる。
なんか必死の形相。どこに居るかわからへんかってん。テセレーション、メタモルフォーゼに魅了されて2時間滞留。あたまクラクラ。エッシャー展おススメでーす。佐川美術館もなかなかえぇ感じ。