2024.08.23

「女性が描く女性たち」~京都市京セラ美術館コレクションルーム・夏

今日もよーがんばったね、おつかれさん、と言うてあげたいよーな絵。梶原緋佐子(かじわらひさこ1896~1988)《暮れゆく停留所》1918年。美人画だったり女性画家だったりのテーマで、上村松園(うえむらしょうえん1875~1949)の展示の際、何度か同時に鑑賞したお気に入り。初めてカメラOKに遭遇。うれしっ。。京セラ美コレクションルーム。京都を代表する人気の名作を四季ごとに入れ替え、数点を撮影可にして蔵出展示する常設展。ときどき企画展越えしてるんちゃぁう、と思うことも、あったりなかったり。

停留所の椅子にへたり込み、傘を支えに柱にもたれる女性。作者によると伏見・中書島の停留所で、多忙な季節の渡りの仲居さんらしき女子を描いた、とか。中書島と言えば昔は花街。酒どころ伏見。京へは竹田街道、宇治川にはかつて港・伏見港も。京阪電車や、これまたかつては路面電車まであったターミナル中書島。黒地に縦じまの地味な着物にほつれ髪。半開きの目もうつろで疲れ切った女子と対照的に、右上には酒どころの花見広告らしきピンク色が見切れてる。緋佐子は知恩院近くの造り酒屋の次女。祇園も近くいろいろな人間を観察したんか、社会性や生活感がにじみ出ててる女子の絵が多い。松園とは違うけど、これもまたとっても愛おしい美人画。

秋野不矩(あきのふく1908~2001)《紅裳(こうしょう)》1938年。今回のチラシのメインビジュアル。紅色と柄が、ちょっとずつ違う衣装でポージングする女子たち。都ホテルの上品な従業員をモデルに起用。調度品も都ホテル貴賓室のを借りたとか。ちなみに女子5人中、4人は同一人物。わかる? 耳が見えてない縞柄女子だけが別人で、これは不矩さん自身かも、やて。悩める乙女たち。若い時はいろいろ悩み多いしねー、遠いむかしの記憶やけど。

上村松園《春光》昭和初期。もちろん外せない松園。すでにブログ紹介済やのに、カメラOKだとついついパチリ。そない大きい作品やないのに、どっしり存在感。ちょうちょが効いてるんかなぁ。

上村松園《晴日》1941年。松園流の働く女子。これもたびたび登場のやつ。たすきがけで着物の洗い張りをしている町娘。「女性の美に対する理想やあこがれを描き出したい」と松園。戦争の足音が高まり人々が贅沢を控えてつつましい日常を送ってた時代。キレイな白い手で働く姿。ちょっとほっこり。女子はいつでも、カワイイ、が好きやから。

伊藤 小坡(いとう しょうは1877~1968)《夏》1920年。暑い夏の日、部屋着姿で絵の構想を練る女性。足元に散らばる本。小坡自身の姿だとも言われてる。構想がまとまらずにちょっとイラついてるのかしら。三重県伊勢出身。京都で活躍し松園と一緒に展示されてる松園的な美人画をよく見かけるけど、これは当時流行りのアッパッパを着てて、かなり洋装モダンガール。この時代はまだ、モデルになってくれる人見つからんかったんかも。。。

京セラ美コレクションルーム、カメラOKはほんの一部。女性画家の作品だけやなく、陶芸や写真なども、毎期見ごたえたっぷりやし、私は企画展とは別にコレオンリーで鑑賞します。ちなみに、ちょっと前の期の展示をご紹介すると・・

ユニークでカワイイ虎、見っけ。現代作家かなぁ思たら、染色家の人間国宝さん、ビックリ!知らんかったー。型絵染・稲垣稔次郎(いながきとしじろう1902~1963)の《二匹の虎》1955年頃の作。確かに展示テーマ、~遊び心に触れて~、のとおり遊び心、満載。

《紙本型絵染平家物語屏風 ひよどり越え》1959年。源平合戦・一ノ谷の戦い。ちょっとアップにすると・・

おぉ~、源義経が断崖を馬とともに真っ逆さまに駆け降りよーとするシーン、やん。キャラクターおもろい。60年以上も前に描かれたとは、思われへん。伝統的な技法を踏襲しつつ、制約の中でも意匠を凝らした作品を次々生み出さはったんやて。遊び心、スゴすぎ。伝統を遊ぶ、ってか今楽しいデザイン。新収蔵品らしし、虎のグッズとか、作ってくれへんやろか。

もう一人、オブジェ陶芸家女子ご紹介。坪井明日香(つぼい あすか1932~2022)。

《チャッター・ボックス》1972年。これ、なんなんやろ。マシンガン? 女性のクチビルを重ねて、マシンガントークとか?・・新収蔵品で解説ないしわからへん。ググっても出てこーへんし。けど、ちょっとおもろい陶芸。

《女のおしゃべり》2003年。これも新収蔵品らしくて。こーいうの、女子やからこそ造ってえぇやつやん。好きやわー。男子が造ってたら張り倒すとこ。ハハハっ。大阪市出身。京都泉涌寺(せんにゅうじ)で焼きものの基礎をまなび、富本憲吉(とみもとけんきち)に師事。「窯に女性が入ると祟りがある」と言われた時代、果敢に陶芸界に挑んだ姿勢が、女性としてのアイデンティティにあふれる力強い造形に表れている、と京セラ美の学芸員さんの解説あり。えぇっスねぇ。府庁時代、働く女子には壁多し。私もずーっと闘い続けてましたわ。

《私小説》1997年。オブジェのお題のつけ方は、よーわからんけど、ほっほ~、これも陶器なんやー、と楽しみました。ともあれ、京セラ美のコレクションルーム、そない混雑しーひんし、勉強なるし、とてもお気に入りです。