2025.03.15

ヴェネツィアが輝く景観画(ヴェドゥータ)。カナレット展~京都文化博物館

あれっ、写真かな?って思ったんスよ、数年前に初めて見た時のカナレットの絵。それからちょこっとカルチャーして、また会いたいなぁカナレット、と思てたところ京都へお越しいただきました。うれしっ。京都文化博物館「カナレットとヴェネツィアの輝き」展。カナレットはヴェネツィア生まれ(1697ー1768年)。カメラOK美術館シリーズ。

《カナル・グランデのレガッタ》1730ー1739年頃。ヴェネツィアの華やかなお祭りの中でも一層エキサイティングなのが、レガッタ。カナル・グランデ(大運河)で行われるボートレースで、観光客のおもてなし用にも開催されてたとか。ヴェネツィアって行ったことないけど、にぎやかそーや。建物と運河の景観もステキやし、よー見たらよーさんの人が祭りを見物してはる。建物の窓にも人いっぱい。祇園祭くらいにぎやかそう。

《昇天祭、モーロ河岸に戻るブチントーロ》1738ー1742年頃。キリスト昇天祭は、ヴェネツィアの祝祭の中で特に重要な「海とヴェネツィアの結婚式」。
《昇天祭、モーロ河岸のブチントーロ》1760年。これもキリスト昇天祭。前の絵から20年程後のカナレット晩年の作。光の反射の表現が変化してるとか。キラキラ舟で派手なお祭りと見物人。ヴェネツィア行って良かったなぁ、また行きたいなぁ、って思わせる絵。
《モーロ河岸、聖テオドルスの柱を右に西を望む》1738年頃。ヴェネツィアの中心地で海からの玄関口。カナル・グランデの対岸に見えるのはサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂。日本画に比べて油絵って色塗り重ねたやつを雰囲気で見るの多いやん。そんななかで建物や舟マストのまっすぐな線、人の影とか、あまりにキッチリ描いてはったし、えっ、これ油絵やねんなぁ、とマジで初見の時は何度もまばたきしてもーた。ちなみにこの絵、視点が地面よりちょい高めやけど、これは一番ステキな風景に見えそーな高さの視点で、カナレットが想像して描いたんやとか。
ヴェドゥータは都市や名所を精密に描いた景観画。この景観画は、18世紀、グランド・ツアーと呼ばれる貴族の周遊旅行の旅土産として需要拡大。ヴェネツィアは人気の目的地で、特にイギリスの貴族たちが争うように買い求めたのが、ヴェネツィア生まれのカナレットの絵。澄み渡る空、輝く水の波紋、定規を用いて堅固さを強調した建物の描写もカナレットの独特な表現。ヴェドゥータ本来の主役でない人物描写もまた特徴。人々の姿が景観に動きを与えて観る者を飽きさせない。目に見える景観をそのまま再現せず建物の組み合わせや視点の工夫で、人々が「見たいと思っている風景」を描くカナレットは、一躍、景観画の巨匠。ヴェネツィアの理想的なイメージも、カナレットのヴェドゥータによって定着。

《ロンドン、北側からウェストミンスター橋を望む、金細工師組合マスターの行進》1750年頃。オーストリア継承戦争でヴェネツィアの旅行者が減ったため、仕事を求めたカナレットは1746年に渡英。テムズ川にかかるウェストミンスター橋が完成したばかりの頃の出来事を精密に描いてる。ただ橋完成前の時期に描かれたもので、これもやっぱフィクション景観らし。

《ロンドン、テムズ川、サマセット・ハウスのテラスからロンドンのザ・シティを遠望する》1750年頃。前と対の作品。セントポール大聖堂からテムズ川沿いザ・シティの尖塔がずーっと続く様子が圧巻・・に観えるように描かれてる。顧客満足度アゲアゲ。

《ロンドン、ヴォクスホール・ガーデンズの大歩道》1751年頃。大通り、実際にはここまで広くはなかったとか。

《ロンドン、ラネラーのロトンダ内部》1751年。ロンドンの遊興施設・ラネラーの目玉であった巨大なロトンダ(円柱形建築物)を描いた作品。直径約46mの室内には演奏席と周囲には52のボックス席。幼い頃のモーツァルトもここで演奏したとか。シャンデリアも複数吊るされたダイナミック空間が描かれてる。

《ローマ、パラッツオ・デル・クイリナーレの広場》1750ー1751年。構図は1740年代やけど、イギリスからヴェネツィアへ帰国してからの描き方手法やと。

《ナヴォナ広場の景観》1750ー1751年。中央にローマの噴水。ここにもよーさんの人が描かれてる。旅土産いうても、印刷のポストカードやないし、浮世絵みたい原画を摺るでもないんやから、量産ってできひんの違う。どんなスピードで描いてはったんやろ。真面目な人やったんやね。

カナレットが、ち密にかつ意図的な操作を重ねながら描き出したヴェネツィアの景観は、カナレット以後も、多くの画家たちを魅了。ホイッスラー、シニャック、そしてモネに至るまで、外国から訪れた画家たちもまた魅力的な都市ヴェネツィアの姿をカンヴァスに表現。カメラNGやったけど、モネのヴェネツィアも展示あり。明るい色使いで、水面に輝く光、街の空気、曖昧な輪郭線をもつ建築物が大胆にトリミングされて、睡蓮の花のない「睡蓮」の池のよう、いかにもモネって感じでした。ホホホッ。

暗がりで目を凝らし過ぎて疲れたので、グリルで京都ランチ。

外国人街と化した京都。混雑を避け時間をズラして、近所で、風呂あがりほろ酔いランチ。まちなかが近所なもんで。。。京都がハレの場所やったんは、昭和まで。