2020.07.15

・・ということで、京都嵐山、福田美術館の伊藤若冲展

「群鶏図押絵貼屏風」。若冲の墨画の鶏。80歳頃の作品。六曲一双の屏風、壮観です。

鶏の尾っぽの大胆な筆致。このいさぎよさが、ええねぇ。

「四季花鳥押絵貼図屏風」、こちらは若冲45歳頃の作品だとか。これもまた筆致がエネルギッシュ。

京都嵐山、福田美術館の「若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ~」と題した企画展。京都錦小路にある青物問屋「枡屋」の長男として生まれた若冲。家業を続けるのか、絵に専念するのかという葛藤に苦しみつつも、彼の才能を見出した支援者たちの励ましを得て、40歳で家業を弟に譲り絵に専念。私が若冲に関心を持ったきっかけは、京都生まれの作家・澤田瞳子作「若冲」。ハードカバーの結構ぶっちょい本。芸術家主人公の小説は読書好きの私には一石二鳥。美術館へのお出かけも楽しみになります。ただし女子作家が書いたやつに限る、です。(男子の本はどうも視点やリズムが違うものが多くて。。)。舞台は京都のまちなか、悩み続けながら、妹やら身内から奇妙な絵と気味悪がられながらもひたすら動植物の絵を描き続ける若冲。京都画壇を背負って立つスゴイ絵師と思い込んでたのに、やっぱいろいろ悩みはるんやね、作品ってどんなんやろと情報を入手。京都市左京区・細見美術館の若冲も私の大のお気に入りになりました。

すぐ上の「蕪に双鶏図」は若冲30代の作品で初公開だとか。どうです、この枯れた蕪の葉っぱ。赤いはんてんや虫食い葉も。見たまんまで絵と言うより記録やね。なんか気分が落ち込みそうや。さすがにこんなん買う人いーひんやろ。たしかに変。悩んではったんやねぇ若冲はん。ちなみに、今回の展覧会チラシ、この作品の鶏の頭と爪の部分が逆さのままドアップ。葛藤する若冲を感じろ言うことやろか、ちょっと気色悪いカットがナイス。ハハハッ。

鶏につぐ鶏のなか、タラバガニ発見。「蟹・牡丹図」。さすが京の錦発。食べたい!今回一番のお気に入り。ひっくり返ってるのもカニ。牡丹は裏面やって。

若冲にしてはめずらしいと言われる「寒山拾得図」。かなりひょうきん。これも楽しい。

「鯉魚図」。若冲の水墨画は生き生きしてるね。有名なカラー版の「動植綵絵」のなかの「群魚図」には死んでる魚も描かれてるらしいけど。まぁ、錦市場に並ぶ魚はどんなに新鮮でも死んでるっちゃあ死んでるけど。。

そして、前回お隣の嵯峨嵐山文華館ブログでも紹介した若冲の「仔犬図」。目つきが、やんちゃ。

他にも、池大雅、白隠、鶴亭やもちろん応挙や芦雪などなど、同時代を生きた京都画壇の作品展示あり。最上階のパノラマギャラリーには若冲に魅了され絵から発想を得た靴のシリーズ展示。ダイナミックな羽とかしっぽとか鶏の足のヒールとかとても履けそうにないので芸術作品かと思いきや、レディー・ガガが実際に履いた靴とか書いてあって。いやいや、それはないやろ、と、一気に21世紀に引き戻されたところで終了。

美術館を出ると、そこには静かな渡月橋が。

福田美術館、次回8月からの企画展は「大観と春草」、東京画壇のコレクションですって。まだしばらくはゆっくり楽しめそうな嵐山です。