2026.01.17

上村松園の美人画を楽しむ~京都・福田美術館

えらいよー降ったなぁ、足元気ぃつけんと滑るわ、手ぇも冷たいし・・てなひとりごとが聞こえて来そーや。

上村松園(うえむらしょうえん、1875ー1949)〈初雪〉1939年頃。着飾ってお仕事に向かうおねぇさん、予期せぬ雪が難儀な様子。襦袢の赤がオシャレ。着物で手をくるんでちょっとでも暖こうして傘をさす。京都嵐山・福田美術館「上村松園と美人画の軌跡」展。嵐山は混雑やなぁ思たけど、生誕150周年の松園、充実の福田美コレクション久しぶりに観たくて。嵐電、始発の四条大宮で座ったら終点の嵐山まで何があっても無視を決め込む。言うても今や、席を譲ってもらう高齢者。

上村松園〈雨を聴く〉1942年頃。賑やかなお座敷から抜け出してひとりお部屋で膝を立ててリラックス。あらっ、雨、降ってたんやー、と障子超しに雨音を見る(?)。「雨音を聴く」やないとこがえぇね。地味目の着物やのに、裾模様と襦袢の赤が粋。

依頼に応じて描く「絵師」から、近世は、自分が描きたいものに全力を注いで理想の美を追求する「画家・芸術家」へ。国が主催する展覧会に得意な作品を出品し、名声を高めて依頼を受けるという流れ。上村松園は展覧会には一貫して美人画を出品し、生涯をかけて女性の美を追求。松園が切り拓いた近代の美人画というジャンルがとても、愛おしい。

上村松園〈美人浴後図〉1900年頃。湯あがり慣れた手つきで髪のほつれを整える。化粧っけのない素肌、くつろぎ単衣の胸元を大きく開けた女子の日常。湯あがりでほぼ裸のも福田美にはあるんやで。ブログ紹介もしたよ~ん。お乳も見えてるやつ。松園は「カワイイ」の先駆者やね。

上村松園〈姉妹之図〉1903年。和綴じ本に見入る三姉妹。注目は着物や帯の柄や色目、髷の違いの描き分け。手前は、勝負を賭けたいお年ごろの末娘。大きく結ばれた帯には華やかな花丸文。真ん中は次姉。奥の長姉は既婚やと、髪型とおちつきでわかんねやて。

上村松園「人生の花」1902年頃。このお題のは京セラ美にもあって、婚礼の式場へと向かう花嫁とその母親の姿が描かれてる。福田美のは不安と期待が混じる表情の花嫁だけ。白無垢やなくて明治時代の流行りらしい黒引き振袖が、光の加減で薄淡く見えてるのもまた、不安な花嫁の心なのかしら。

上村松園〈美人観月(びじんかんげつ)〉1913年頃。描かれてへんけど、蚊帳(かや)を吊ってたら月が見えて、えぇお月さんやなぁ、と吊った蚊帳を一か所はずして月を見上げてるとこやて。

上村松園〈春風〉1936年頃。光の加減で見にくいけど、おねぇさんは左下の蝶々を見て、春やなぁと。こういうの近代日本画に多いよね。一見、ホコリなら払わんとと思うけど、目を凝らしたら昆虫や小さな生き物がものスゴち密に描かれてて、なにげに重要ポジション。水色の着物に赤の帯、松園の好きな組み合わせ。よー見る。

上村松園〈人形遣之図(にんぎょうつかいのず)〉20世紀前半。近松門左衛門の浄瑠璃「冥途の飛脚」。主人公の男女が一つの傘を差しながら雪の中を逃避行する名場面らしけど、こんなキレイなおねぇさんが人形を操ってたら、みな、おねぇさんしか見ーひんわねぇ。しかも、おねぇさん感情入り込み過ぎで必至。相方の男性が、ちょっとやりすぎやで、ってたしなめようとしてはるけど、聞いてへん、てな場面らし。濃い絵やなぁ。
上村松園〈花のさかづき〉1935年頃。このあっさり風味の絵、スキ。酔い覚ましに外気にあたろう思たら、窓の外にかわいいしだれ桜見っけて、にっこり。好きなん一つだけあげる言わはったら、今日はこれやね。癒し系。心が疲れてるんやろか。
さて、松園以外の美人画も紹介。言うても鏑木清方(かぶらぎきよかた)や伊東深水(いとうしんすい)はカメラNGやからそれ以外で。。
伊藤小破(いとうしょうは、1877ー1968)〈花の頃〉20世紀。松園よりちょっとやさしい感じの美人画。玉虫色の口紅はこのころ流行色やったらし。三重県出身やから名古屋の名都美術館がよーさん作品持ってはる。

島成園(しませいえん、1892ー1970)〈鼓〉1914年頃。大阪発の女子やから、なにわーな日本画描かはる。ちょい賑やかいと言うか・・どないやねん。

甲斐庄楠音(かいのしょうただおと、1894~1978年)〈口紅之図〉20世紀。薬指に紅の跡。江戸時代には高価だった口紅。大胆なトリミングで女心の華やぎをとらえたと福田美では解説されてたけど。。去年、国近美コレクション展見て不気味な女子絵が癖になるとブログで紹介した楠音。これも不気味な美人さん。薬指の赤が血やと言われても違和感がない。ただ眉毛のあたり妙に引き付けられる。やっぱ癖になりそーや。

岸田劉生(1981ー1929)〈村娘之図)1919年。劉生の娘・麗子のお友達らし。曇りなき目。まっすぐに前を見つめる力強い目やね。

岡田三郎助(1869ー 1939)〈裸婦〉1924年。明治から昭和にかけて活躍した洋画家。女性像を得意とし、日本的な肌の美しさが特徴。日本の洋画ってちょっと暗~い感じのが多いなか、色白のおねぇさんを明るく描かはるしスキやわ。

小磯良平(1903ー1988)〈婦人像・装い〉1955年。昭和期に活躍した洋画家。神戸生まれやからやないやろけど、時々出会うこの人の絵はオシャレ。デッサン力がすごくて、簡略化した素早い筆致で生き生きと描ける人なんやて。

東郷青児(とうごうせいじ、1987ー1978)〈草上の三人の娘〉20世紀。独特にデフォルメされた女性像は、一目でこの人の作やとわかる。キュビズムとかピカソとかいろいろ学んで自分スタイルを確立するってスゴいことなんやろね。美人画の軌跡こんなとこかな。ちなみに、福田美近くの嵯峨嵐山文華館では、美人画の第2会場として「浮世絵と美人画の軌跡」展。それにしても寒~い嵐山に何しに来はんのやろ。数年前にできたテイクアウトコーヒー屋は行列。ただただ迷惑なだけだっせ。