2020.10.02

奥が深い京都美術館の所蔵品展を楽しむ。京セラ美・上村松園「待月」のおもむき。

撮影OKな美術館、なんか、増えたような。春にリニューアルの京都市京セラ美術館。お気に入りのコレクションルーム、春期展示に続き夏期展示へも出向くと、一番の目的だった美人画の上村松園だけが撮影OKとのこと。ラッキー!。パシャリ。

いつ見てもうっとりの「待月(たいげつ)」。派手な色づかいでもなく、後ろ向き、さらに真ん中に大きな柱がドーンと描かれてるのにもかかわらず、です。薄墨の夏着物から透ける襦袢の柄、すらりとした後ろ姿、うちわを持つ指先からも月を待つワクワク感が伝わってきてほほえましい。写真ではわかりづらいけど、帯にはウサギの文様、袖口からは襦袢の赤色がちょっと見えてるところ、女子のかわいらしさを出す松園さんのこだわりたっぷり。

これまた大好きな「晴日(せいじつ)」。働く女子。春の日のさわやかな色づかい。黒襦子(くろじゅす)のかけ襟で真剣なまなざしで作業をしてるんやけど、頭には桜の小枝をちょこっとさして、タスキのひもや袖口からのぞく赤に、若さとかわいらしさを見せます。

これは有名な「人生の花」。ういういしい京の花嫁。婚礼の式場へ向かう花嫁と先導する母親の姿。うつむく花嫁、前で帯を結び眉をそり落とした既婚女性姿の母親は、当時まだ残っていた京都の花嫁風俗を忠実に再現しているとか。松園さんは類似の構図を何パターンか描いてはるけど、京都市美がまさか2つも所蔵して見比べができるなんて、なんと贅沢な。

特に右側の「春光」。水色のきものに赤の帯のワイルドが映えて。うつむき加減なのは恥ずかしいんやなくて、左下の蝶(ちょう)を見てるから。ガラスの反射が白く光ってるのかと思えるほどの小さな蝶。春です。

「初夏の夕」。このひとが見てるのは、蛍ですね。写真では見にくいので、機会があれば肉筆画をご堪能ください。全国各地の「美人画展」にはほぼ必ず松園さんを見ることができます。私も京都市美術館リニューアル中に、3か所ほど別会場で京都市美所蔵の美人画展を見ました。もう、追っかけやね。

上村松園の「虹を見る」二曲一双の屏風絵ですが、ここからは、京都国立近代美術館の所蔵作品展~京(みやこ)のくらし~。京都市の文化エリア、左京区岡崎の京セラ美術館の平安神宮の大鳥居をはさんでお向かいにある美術館。まさかカメラOKとは思わなかったので、スマホ撮影です。写真では見えてへんけど、女子たちが見上げる先に虹がかかっています。ほんまに色づかいがあざやかで、松園さんお得意の大きな帯が跳ねてます。

徳岡神泉「蕪(カブ)」。京都市中京区の神泉苑近くに生まれた画家。花や鯉、蕪、リンゴなど身近なモチーフを描きつつ、その奥に潜む何かを、心の眼で深く見つめ尽くし自然の核心に迫る作品たちとか。2年ほど前に北区衣笠の立命館大学の向かいにある京都府立堂本印象美術館のリニューアル企画で徳岡神泉展を見てから、私のお気に入りになりました。京都府ナイスです。葉っぱを切り落とした蕪一つ。なんか言いたいことがあるんやろか、なんて思わへん?

蕪につぐカブ。小林古径「蔬菜」。線がきれい。丁寧な筆致。被写体への愛おしさが伝わってくるようです。出身の新潟県上越市に小林古径美術館がオープンするらしく、次のGOTO計画を立てようかなぁ、と思案中。

福田平八郎「竹」。

土田麦僊「朝顔」二曲一双屏風。大好きな日本画作家の作品をいくつかカメラに収めたけど、洋画、焼きもの、きもの、漆器、ガラス、七宝など近代文化の巨匠たちを勢ぞろいさせての京のくらし展。恐るべし国立美術館。8割方撮影OKだったのも太っ腹。

そして京都画壇の大御所、竹内栖鳳。栖鳳はんお得意のカラスが思わぬ春の雪に寒そうな「春雪」はちょっとかわいい。そして栖鳳はんと言えば、京セラ美術館の秋期コレクションでは、美人画の傑作「絵になる最初」が見れるとか。初めてのヌードモデルにとまどう女子が描かれた、男子目線ならではの作品。再開できるのがとても楽しみ!

そのほかに、まちなか三条通の京都府立文化博物館では、博物館所蔵の池大雅展&京都三条大橋家コレクションの木島櫻谷展を堪能。ここはカメラ禁止やったけど。さらに岡崎の細見美術館では細見コレクションの琳派&伊藤若冲展開催中。

コロナ禍の影響で、全国すべての美術館で展覧会が中止やスケジュール変更されて、しばらくはどことも美術館所蔵のコレクション展中心の様子。日本画好きの私は京都の美術館博物館の所蔵品展だけでもしばらく生きていけそうで・・ワクワクしっぱなしです。

3月中旬、コロナ自粛前にマイお誕生日を祝してお出かけした平安神宮近くの老舗洋食屋さん「グリル小宝」。今回は人気のオムライス。ビールしたかったので小にしたけど、ぜんぜん普通盛りでお腹パンパン。けどとても満足のお味。だんだんと行列がもどってきたので、行かれるなら13時以降をおススメします。