新種のオレオレ詐欺かと思ったら・・・相続放棄の手続きしてみました。
コロナで外出もままならなかったGW明け、突然届いた宮崎県川南町役場からの封書。しかも特定記録郵便で宛先も正確。ツレアイの実家は宮崎県延岡市。ちょっと惜しいけど・・何の関係もない役場から、何の用やろ?
封を切ってみると、「長友シゲさんいう人が亡くならはったんやけど、所有してはる不動産の固定資産税が滞納になってるので、払ろて欲しい。アンタ相続人だっせ」と。えぇ~~~。なんでやねん。長友シゲさんて、誰?
2枚目のペーパーを見ると・・
A4の紙にずらりと25人。役場が調査して判明した相続人の一覧らしく、シゲさんは亡くなったツレアイの祖母みたい。私に「妻」の表記がないのはなぜか不明やけど、まぁ、離婚してるわけやないから、どっちにしても逃げられへんよーや。それにしても、私の名前の少し上に掲載の「子の妻」は、延岡市の施設に入ってはるお義母さんで、もう100歳近いのに、さらにその義母のシゲさんは何歳やねん。日本の最高齢者が宮崎県で亡くなったなんて最近聞いたことない。ということは、亡くなったのはもっと前?って、いつよ。
で、なんぼ払えっちゅうねん、と、3枚目のペーパーが課税台帳。A4に縮小して小さい数字が読めへんし、専門用語が並んでてよーわからんやつに目を凝らすと、住宅と宅地で固定資産税年額13000円ほどらしい。ハイソな豪邸ではないよーや。で、これって私の分?それとも相続人らで割るとか。もう、めんどくさい。こんなくらいやったら、払ってしまったろうかしら・・・などとつい。
いかんいかん、そんなことでは、いかん!。甘い顔したら固定資産税は毎年請求されるし、なにより公務員歴40年超えで行政書士にでもなろうかって人が、めんどくさいでは、ちと恥ずかしい。言うても行政書士になるつもりないけど。。。ちょっと調べてみたら、どうも「行政書士会」への入会必須のよーやったんで。よーやく解放されたおっさん社会。なんで今更入らなアカンねん・・と、これは余談。
とまあ、そんなこんなで、川南町税務課からの依頼文「相続人及び不動産所有者の御確認について」。「・・御確認について」って、いかにも役所らしい。公印をついた文章やし間違えたり後で訴えられたりしたらアカンので、無難に、用件はこんな感じのことですぅ、って書かれてる。ともあれ内容は本文にて。特に税務課からの文章は、どんなに読みにくくてもしっかり理解しとかんと、督促状だと放っておいたら差し押さえが来ることもある。で、本文には「税金を払いたなかったら、相続放棄する旨を役場に連絡して、手続きは宮崎家庭裁判所に相談しなはれ」だってさ。権力に屈してはいけない。よーし、久しぶりに闘志がわいてきたので、「相続放棄の戦い」を開始することにしました。
まず、送り元の川南町役場税務課の担当者に電話。そもそも、シゲさんはいつ亡くなったんやと聞くと、昭和43年とのこと。令和でもなく平成でもなく、昭和て。「滞納分は5年さかのぼって徴収します。それ以上は取れへんのですけど・・」って、おいおい、放ったらかしにしてた町役場の怠慢を、なんで他府県民が補填せんとあかんねん。裕福な町でもないんやろから、ちゃんと調査しとかんと、と説教のひとつもしたくなる。ともあれ、相続放棄の旨を伝えて、今後の手続きや家庭裁判所の連絡先を聴取。宮崎家庭裁判所に電話すると、「HPに手続きや様式をアップしてる。間違うたらあかんので、近くの京都家庭裁判所に行って聞いて来い」と。戸籍謄本のことは京都市役所で聞いて来い、とも。。。呑気やなぁ。京都はコロナ宣言中やっちゅうねん。どこも、来んといてくれ言うてはるし。さらに、シゲさんの戸籍の問い合わせで宮崎県美郷町役場に電話すると、窓口女子が「HPに掲載してるからそれ見て申請してこい」と。内容の相談に応じようかという態度も無く。やれやれ。どいつもこいつも、そこに座れ、です。
京都家庭裁判所HPの手続き解説がわかりやすかったので、それに基づいて添付書類集め。あいそ悪い美郷町役場にも、京都家裁のこの解説を同封したり、私が誰かわかるようにツレアイの死亡時にとった謄本の写しを同封したり。私の戸籍謄本は、初めてマイナンバーカードでコンビニ交付。B版縦書きの読みにくい謄本でなくて、A4横書きのとても読みやすいペーパーが交付されて、新様式になってるの知らなかったので、これは記載事項証明じゃないのかと、わざわざゼスト御池の証明書発行コーナーへ確認に行ったり。。。あちこち電話やお出かけで、リタイアしてなかったら仕事とのやりくり大変だったかも。
5月末に、とりあえず添付資料をそろえて家裁への提出。ごちゃごちゃ言われたら、宮崎家裁まで京都のコロナ禍を持って出向いてやろうかしら、必要早急な訪問やし、などと思いつつ。1週間後に宮崎家裁から、「弘子さんの夫と、夫さんのお父さんの戸籍謄本が無いと、シゲさんと弘子さんの続き柄がわからん」と連絡あり。そやろなぁ、昭和43年から時間がたち過ぎてるしやね。ともかく手元に残してあった10年ほど前のツレアイの死亡諸手続き時の戸籍謄本2種を追加送付してOKでした。死亡した人たちの謄本はいつまでも有効なんやね、変わりようがないし。
めでたく、相続放棄申述受理通知書が到着。13000円の戦いが終了しました。
私も2年ほど園部地方振興局時代に税務事務を担当。税金を使ってばかりいないで徴収の苦労もしろ、と。2年では税法をとても理解できひんかったけどいろいろ勉強になりました。府民が窓口に来はったら声かけられる前に対応を、とか。民間ではあたりまえやけど、行政窓口では目ぇ合わさんよーにことさらにうつむく人って、多いでしょ。府庁時代にボスが、お盆でお手すきの頃、府庁内の各課を見て回らはることがあって・・しもじもでは、徘徊と言うてましたが・・「ボクが部屋に入っても顔をあげない人は、まぁ、忙しいのかなぁと思うけど、一旦顔を上げてボクを確認してるのに、また下を向いて知らん顔するっていうのは、どうなんだろう・・」と嘆いてはったけど。ハハハっ。。ともあれ、お金をもらう立場の税務担当は入り口は低姿勢で丁寧対応が多いです。間違えたらあかんし、聞かれたらすぐに説明できんと、お金取るくせになんや、ってキレられますからね。けど公権力、絶対権力です。文句言うても「見解の相違」で聞き入れてもらえへんでしょう。今回ももちろん相続人全員の戸籍謄本は公用で入手したうえで文章を送ってるはずです。「妻」が漏れてることの方が不思議、やっぱ、ここに座れ、やろか。
今回は、不動産の課税漏れというより、キケン建物とか開発とかで撤去の必要がでてきたんちゃうやろか。山林とかでも多いですよね。行政が処分したいけど勝手にできひんので所有者を探すとか。そんなんやったら、もう、固定資産税徴取とかせんと放棄してもらう手続きを役場が中心になってしたらどう。今回もこんなメンドイ手続きを、25人の相続人全員ができるとは思われへんし、不動産欲しいなんて個人、もう、おらんやろ。まぁともあれ、13000円取るのに、証拠が残る文章が送り付けられるなんてのは、オレオレ詐欺ではありえへんということで一安心。突然やって来る借金付きの不動産相続の災難、これから増えて来るんじゃないですか。くれぐれもお気をつけください。