2026.02.07

IDの京モダンにときめく~京都・堂本印象美術館

IDとパスワードは?・・のIDちゃいます。京都生まれ明治~昭和に活躍の日本画家、堂本印象(どうもといんしょう、1891ー1975)のイニシャル。没後50年記念・特別企画展「モダンなときめき~智積院襖絵(ちしゃくいんふすまえ)の魅力」へお出かけ。

智積院蔵〈婦女喫茶図〉部分。1958(昭和33)年。智積院言うたら、東山区にある真言宗智山派総本山。宝物館には長谷川等伯(はせがわとうはく)一門の国宝の障壁画がごろごろあるとこ。数年前に、「京の冬の旅」で公開されてた智積院の襖絵を初見したとき、えっ?てなった。こんなんええの?印象はん総本山に喧嘩売らはったんかなぁて。とはいえ絵的にはカラフルポップが楽しくてお気に入り。堂本美での再会にワクワク。当時の制作経過もカルチャー。宗教は時勢と無縁ではアカンとのお寺の要望をうけて、「思いっきりモダン」な襖絵を制作。「京にモダンあり」と話題になったらし。まぁねぇ、等伯さんの国宝かて、桃山時代には狩野派に対抗した奇抜なチャレンジ、やったんやろし。

北区衣笠、立命館大学の向かいにドーンと白モダンな京都府立堂本印象美術館。金閣寺から龍安寺、仁和寺へと続く「きぬかけの路」沿いの立地までもオシャレ。府立やけど府が建てたもんやおへん。こんな度胸とセンス、京都府庁にはないっス。印象自らがデザインし開館。没後京都府へ寄付。2025年8月、国の登録有形文化財に登録。そんなこんなで没後50年企画展あちこちで開催。去年11月、京都国立近代美術館の企画展で印象一挙大公開。堂本美でおなじみの絵が多かったけど、デッカイ会場への集結は圧巻。今回メインは智積院の襖絵数点と下絵。プラス印象のモダンに着目して、美術館職員が思わず「ときめく」10数点を展示。しかもチョイス作品はカメラOK。印象は通常カメラNGやのに清水の舞台もんやなーと、ありがたくブログに残すことにしました。メインビジュアルは智積院からの借りもんにつきカード写真です。

〈蒸気船〉1925年。ボーっと汽笛が聞こえそーな。左下にワンちゃん。向こうには城郭も見える。素直~な船を眺めるモダン絵。大正期、34歳。印象は上京区に代々続く造酒屋の三男。父は家業を営む一方、近隣の富岡鉄斎(とみおかてっさい)をはじめとする芸術家たちとの親交もあって、古美術、茶道、華道、俳諧などに造詣が深い人。印象も読書や絵画好き少年。絵画専門学校に進み、大正から昭和初期は日本画家にまい進の時期。初々しいモダン。職員さん2人チョイス。

〈椅子による二人〉1949年。58歳。これ、好きなやつ。親子かなぁ。腕か椅子かよーわからん白が、びよ~んと伸びてカーブ。おもろいやん。う~ん、不思議モダン。ちなみに、先の襖絵カフェの女子は、印象の姪がモデルとか。これもそーかな。色白で鼻筋シュッとした美人さんやし。

印象芸術の転機は戦後の約10年。一転して現代に注目。現代社会の風俗を主題にした作品を描いたり、その構成も、伝統的な日本画特有の線によるものから、色面主体のものへと変化。形態のデフォルメなど洋画的な表現に移行。

〈モンマルトルのバー〉1952年。この年印象は海外へお出かけ。イタリア、ドイツ、スペイン、フランス、スイスなどをまわって、新しい色彩、デフォルメに目覚める。ピンクの壁、みどりの扉、三角の屋根もオシャレと職員さん評価。キュートモダン。

〈パリの花屋〉1952年。花の都・パリの花屋の前を、犬をつれたパリジェンヌが通るなんてモダンやん、と職員さん2人押し。何気ない街角の切り取り絵って、えぇよね。

〈モンパルナス〉1954年。印象の軽いタッチのスケッチ絵、大~好き。宇宙人みたいな頭、描くのめんどくさかったんかなぁ~。吉本新喜劇のおねぇさんみたいなヘアーがパリで流行ってたとしたら大笑いやん。右上、女性の横顔シルエットのなかにロゴマーク「ID」。この時代にカッコえぇ。

シールになってて、特別な時、くれます。今回、第2展示室がなんかの撮影で見られへんかって、そのお詫びに右のブルーのやつを2枚もらいました。使い道は・・う~ん、特にない。50年後「ID」がこんなメジャーになってるなんて、印象もビックリ。

〈アトリエ〉1954年。左でポーズとる女子を、右のパレット持つ女子がキャンバスに描いてるらし、と職員さんの説明書きなかったらわからんけど、わからんでも、なんか女子らが楽しそーに見える。印象マジック。

〈黒衣の高峰秀子〉1955年。絵はモダンやけど、それ以上に女優がモダンなオーラ全開。さすが昭和の大女優。パリジェンヌとは大違いに、ちゃかさず真面目に描いてはる。メチャメチャ気ぃつこてはったんやろか。

〈双鳩〉1960年。2羽の鳩。モダンなんかなぁ。正統派っぽいけど、やっぱ、やさしい色づかいとかポーズが写実やないか。くりくりっとした目もオチャメ。

〈千鳥〉1960年。これは結構抽象画。1羽はちぎり絵。あとの2羽の目も銀紙らし。

〈聖歌〉1969年。ピカソ風?ピカソ好きやし、このよーわからんやつも、リズミカルで好き。印象は、制作にあたり視覚だけやなくて音を大切にしたらし。音楽からインスピレーションを得たり音楽的な要素を作品に取り入れたり。ただ、後年の代表作に〈交響〉ってのがあるんやけど、キレイな色彩絵の上に大胆に黒墨が飛ばされたやつ。もったいなー、て思う。ググったらすぐ出てきまっせ。見てたらベートーベンの5番が頭に流れるんも、ちょっと悔しい。ベートーベン好きやし汚さんといてほしなぁ。

〈友達〉1969年。78歳の印象が描いたモード系女子のペン画。ポージングもモダンと職員さん2人プッシュ。同感。

〈温雅な囁き〉1970年。ゴールドのきらめきとゆらめきがリズムを奏で、良いことが起こりそーな予感との職員さんコメント。う~ん、確かに暗い絵ではないよね。以上。ひとり鑑賞好きやけど、学芸員やなくて職員さんのコメントっちゅうのもおもろいね。

堂本美の展望室からの眺め。右の豪華な日本家屋が堂本印象さんち。西の端から京のまちを突っ切って、左に比叡山、右に大文字山が見えてる。えぇとこです。