2022.11.19

富山県・高岡市美術館「バンクシーって誰?」展を追っかけて~京女のひとり旅40

社会的なメッセージ、鋭い風刺のストリート・アートでも知られる、謎のアーティスト・バンクシー。数日前のニュースでは、ウクライナにも出現したとか。ロシアの攻撃で破壊された集合住宅の壁面に描かれた、がれきの上に逆立ちする体操着の少女。。。「バンクシーって誰?」展を見たくて、富山県・高岡市美術館にお出かけ。

世界中に分散するバンクシーのストリート・アートの代表作品を、テレビ局の美術チームが街並みごと再現し、リアル感たっぷりに展示。コレクター秘蔵のレアな作品も多数で、去年から全国巡回してた展覧会。カメラもほぼOK。

1990年頃イギリスで、グラフィティ・アーティストとして活動を始めたとされるバンクシー。まちの壁にスプレー缶で描く様子。

スコットランド生まれの写真家が、バンクシーの許可を得て、さまざまな作品の制作風景を撮影。世界中に神出鬼没で、誰もその正体を知らないバンクシー。

ストリート・アートを再現。バンクシーと言えばの、風船と少女。もともとは2002年にロンドン市内のストリートで描かれた作品。その後、ロンドン、パレスチナ、ニューヨーク各地でさまざまなバージョンで描かれている。

2018年、サザビーズのオークションで、風船と少女、が高額落札されるや、額に仕込まれたシュレッダーで突如裁断された事件。自身が仕掛けたと本人がインスタに投稿。切り刻んだ落札後のタイトルを「愛はごみ箱の中に」と改名。オークションの最中に制作された作品として一躍有名に。オークションに一言あったのか・・億の世界なんて私にはわからんけど。赤い風船は平和や希望の象徴とか。普通に見たらほのぼのカワイイ絵。ストリートに描かれたやつは全て消されて、もー残ってないらし。

パンフの表紙にもなってる、花束を投げる暴徒。パレスチナ・ベツレヘムに制作された巨大壁画。イスラエルの軍事的支配に対するパレスチナ市民の抵抗運動をモチーフにしたもの。テロリストが、怒りでなく花束を紛争地域に投げ込もうとしている。いまも現存らし。

アメリカやイギリス政府による大規模な電話・インターネットなどの傍受の事実が暴かれた翌年、スキャンダルの発端となった場所のひとつ、イギリスの政府通信本部(GCHQ)付近に実在する公衆電話ボックス。そのまわりの壁に描かれた、あらゆる機械で傍受する怪しいスパイたちの姿。

ロンドンのフランス大使館前に描かれた、催涙ガスで涙を流している『レ・ミゼラブル』のコゼットとQRコード。QRコードをスマートフォンで読み込むと、フランス警察が催涙ガスやゴム弾で難民を急襲している様子が撮影されたYouTubeの動画にリンク。バンクシーアートは、今や観光名所。

右側がバンクシー作の、鼓膜の破れた少女。フェルメール「真珠の耳飾りの少女」のパロディー作品。バンクシーのホームタウン、イギリスのブリストルのレコーディング・スタジオの外壁に2014年頃描かれたもの。本来の真珠の耳飾りの位置にあるのは、六角形の黄色い警報器で、この建物にもともとあったものをそのまま活用してバンクシーが絵を描いた。左側のは、新型コロナ感染拡大で、そのパロディ作品にマスクが描き加えられていたらし。ただし描き加えたのがバンクシーかどうかは不明。

廃墟と化したパレスチナ・ガザ地区北部に設置された、かわいらしい子猫。平和な国で呑気にネコの写真ばかり撮ってないで、世界で起きてる紛争や惨事にも、ときには目を向けなはれ、というよーなバンシーのメッセージらし。

次は、コレクター秘蔵のレアな作品たち。

2005年、カトリーナ・ハリケーンによって発生した大洪水による災害で死者1800人以上という被害を受けたニューオリンズ。本来雨から身を守ってくれるはずの傘の内側が、土砂降り状態のステンシル画。未曾有の大惨事で機能不全に陥った州や、国の不充分な災害対策を批判し、また同時に犠牲者を追悼している。

左は、ロンドン警視庁の80年代当時の制服を着た警察官が、「オズの魔法使い」のドロシーに職務質問して荷物検査を行っている。当時のイギリスで、少数民族に対し人種差別的な行為を行うロンドン警視庁に対して起きていた暴動やデモを風刺したもの。無邪気な少女ドロシーにさえも容赦なく検査を行う不条理を描く。右は、爆弾を抱きしめる少女。ポニーテールの少女が軍用機用の爆弾を抱きしめている。イラク戦争反対デモ用のプラカードにも描かれて、戦争で人を殺す武器が玩具のように扱われる様子から、戦争を行う国の幼稚さをも表現している。

反抗的なメッセージ「今は、笑え。しかし、いつかは我々が勝つ」を掲げる仏頂面のサル。サルは、ネズミと並んでバンクシーの作品に登場することの多いモチーフ。バンクシーは、このような動物たちに、社会風刺に満ちた自らのメッセージを託している。

「セール最終日」を告げる看板の下に、ルネサンス絵画風に嘆き悲しむようにすがる女性たちの姿を描いたこの作品は、まるで宗教と化したような資本主義社会と消費文化を風刺。

ショッピングカートだけが残されて。近づく人は消されるのか、消されてしまったのか。。大型スーパーのエブリディロープライスは、地球上のどこかの国の人々の暮らしを、根こそぎ破壊しているのかもしれない。

イギリスの大手スーパーマーケット「テスコ」のオリジナルブランドのスープ缶。アンディ・ウォーホルが1962年に描いたキャンベルのスープ缶の現代版としてアップデート。ウォーホルの商業的アートのスープ缶を、バンクシーは地元経済を脅かす大企業へ痛烈な批判として表現。なんでも、2005年3月、バンクシーは ニューヨーク近代美術館 (MOMA) に自分の絵と一緒に入り込んで、ウォーホルのスープ缶絵と無断で掛け替え。その後、結局、6日間もの間、来場者、警備員、キュレーターにさえも気づかれず展示され続けたとか。バンクシー作品を紹介しきれてないけど、ここらで。。。

高岡古城公園の紅葉。

高岡大仏にも、ちょっとごあいさつ。

バンクシー展からの頭の緊張をほぐすべく、高岡駅前ホテルのカフェ「ボン」でモンブラン。この旅は、上高地・高山の続き(上高地のブログ)で、飛騨路から越中富山への旅。富山市に連泊して高岡までは、あいの風とやま鉄道利用。富山県でも旅支援クーポンは平日2日で6000円。ただし、こちらは従来型の1000円クーポン券につき、モンブランセットは1000円未満で使用できず。が、しかし、北前船のまち富山は客単価が高くて、まず、高岡市美術館のバンクシー展2000円なり。

富山駅にもどって、「八兆屋」で海鮮丼とビールで2000円越え。前回は、ミニ海鮮丼やったけど、今回棚ぼたのたっぷり海鮮。このあと富山県立美術館へ移動して西洋絵画展を観ようかと思ってた・・水曜定休で前日に見逃してしまってたもんで・・けど、バンクシーの予想外のインパクトに、どーでもよくなっちゃいました。

夕食朝食用に、ますのすし・源さんの駅弁「富山味づくし」と、ますのすし小をゲットして2000円超え。この駅弁、昔からとってもお気に入りのやつ。で、クーポン終了。ちなみに、今回は旅支援スタート前に事前予約してたやつで、支援始まってすぐ次の予約を、と思たら、ほとんどの県でとっとと終了してました。どれだけの人に行き渡ったんか。貰っといてなんやけど、何の支援やったんやろ、ね。