2020.12.19

ガラス工芸作家がつくる琥珀(コハク)お菓子のフルコース仕立て~京都山科・瑠璃菓(ルリカ)

京都市山科区、「地下鉄東西線の椥辻(なぎつじ)駅から歩いて20分ほどなんですよ~。なんやわかりにくいとこでスンマセンねぇ。よー来てくれはりました。お待ちしてました~」と迎えてくれはったんは、「ガラス工芸作家がつくる琥珀菓子・瑠璃菓」の代表で菓子作家の石井佳鶴子(かづこ)さん。

と言うても、歩いては来てまへん。山科の道はなかなか手ごわくて。今回は亀岡の保津川こなこな研究所・中野恵二さんの車で、フードビジネス・コーディネーターの道畑富美さんと一緒に乗っけてきてもらいました。先月の亀岡でのこなこな会議に参加してはった石井さん。「一昨年に長友さんが京都府のちーびず課長してはった時の最後の大応援カフェで、僕らも知り合ったんやで。覚えてはりませんか?なんなら一度現地へ行きましょう。」と中野さんに誘われて連れてきてもらいました。課長時代からずーっと頼りのーてスンまへん。お世話かけてばっかやし。

自宅の菓子工房カフェ。「どうぞお座りください」と案内された椅子は、帯をリフォームしたものとか。なんだかお公家さん的なあでやかさで麻呂気分。町衆ですけど座らせてもらいます。

いただくのは「生琥珀のフルコース仕立て」。さっそく運ばれてきたのは、紅茶&りんごの生琥珀。琥珀とは琥珀糖・琥珀羹(カン)のことで、お砂糖と寒天を煮詰めて固めて乾燥させたちょっと透明に透き通る和菓子。シャリシャリの歯ごたえのやつ。で、「生」とは乾燥する前の状態を和菓子に工夫してみよう、とつくり始めた石井さんのオリジナル。と言うのも石井さんは自宅に工房を構えるガラス工芸作家さん。さらに、幼いころから茶道に親しみ茶道教室の先生もしてはって、茶道用の和菓子も手づくりして持参してたとか。で、ガラス工芸約30年で方向転換を決意。京都の食材や伝統文化を大切にしつつ次につないでいきたいと、培った色彩感覚や表現力が活かせる和菓子をメインとしたブランド「瑠璃菓」(商標登録出願中)を、2018年に立ち上げられました。「えっ、じゃあ、この器は石井さん作?」「いえいえ、これは市販品。箸置きは私のです。こんな風にカフェの器に使おうとか思ってなかったので、結構、手放してしまったんですよ」と。あらまっ、残念。もしかしたら、後先考えずに突っ走る系のヒトかも。けど箸置き、えぇ色してます。これは食べられへんえ~。

次は丹波大納言のおぜんざい「瑠璃菓のぜんざい」&コーヒー添え。途中でコーヒーをおぜんざいにかけるとコーヒーゼリー風、と説明されてたにもかかわらず、撮影とおぜんざいに必死になってコーヒーかけるのが遅すぎた私。コーヒーに浮かぶ小豆でした。不覚。

次は箸置きとおそろいのカラー。ブルーベリーの生琥珀。「とんがり帽子みたい。このお菓子の名前は?」「えっ、特にあらへん。とんがり帽子にしようかなぁ」「いやアカンアカン。情緒が台無しや」「ブルーベリーの涙とか」「涙はちょっと悲しい。しずく、とか、どやっ」との会話は情緒にはほど遠い。「瑠璃しずく」に決定したと発信されてた瑠璃菓さんのFacebookに、中野さんが「2つだと、瑠璃ふたしずく」と書き込み。やっぱ情緒に欠けてまっせ・・・。そしてこの器も石井さんの作品。ステキ。

密にならんよーに気をつかいつつ。左から中野さん、石井さん、石井さんのお母さん、道畑さん。石井さんの後ろにはガラス工芸の作品も。

手元に残ってる石井さんのガラスの器も少し見せてもらいました。白紙を敷くと色が浮き出てきます。切子もいいですねぇ。小樽の北一硝子にも卸してたとか。さすがに女子が欲しくなるものばかり。けど窯を手放したのでもう作れないんですって。うーん、ほんまに残念やわぁ。

あわ雪の生琥珀。レモンクリームのレモンは自分ちで採れたものとか。スッキリした酸味と甘みです。

コース最後のお菓子はお抹茶と一緒に運ばれてきた、柿の茶巾しぼりの生琥珀。器も石井さん作。気泡と金銀箔がええ感じ。透明ガラスやけど白紙を敷かずに机の黒を写すとキリっと引き締まる感。天井の証明もスポットライトがわり。プルンとした食感をいろいろ楽める生琥珀5つのコースは3000円。日持ちしないので生琥珀のネット販売はありません。静かにゆっくり楽しむコースです。要予約。

こちらの、生じゃなくて日持ちする方の琥珀菓子はネット販売もあるしお土産にも持ち帰れます。外側はシャリシャリ。これはこれでお気に入り。写真のは大納言。他に柚子、白みそ山椒、抹茶、ほうじ茶、みたらし、梅酒、ブランデー、赤ワイン、煎茶日本酒の10種類。京女が選んだ個性豊かなラインナップ。コロナ禍で海外との出入りも制限されてる昨今、和文化で暮らしを楽しむのも良いかも。京都発の生琥珀スイーツで静かに攻めてみませんか。

ガラス工芸作家がつくる琥珀菓子「瑠璃菓」のホームページ