2023.06.16

たっぷり「佐伯祐三」。~大阪中之島美術館開館1周年記念特別展

作品名「黄色いレストラン」。言うてもほぼ「扉」。大阪中之島美術館・開館1周年記念特別展「佐伯祐三(さえきゆうぞう)~自画像としての風景」のメインビジュアル。パンフの表紙。思いがけずカメラOK、太っ腹。なら・・ブログで残しとこ、と。

佐伯にしてはイエローが明るい。けどやっぱし、黒色の暗いガラス。ちょっと安心。1928年パリにて、絶筆とも言われる作品。

その名も「扉」。扉だけ。同じく1928年のパリ。とても開きそーに無い扉。亡くなった年に描かれたんで佐伯自身の未来かも、なんて解説もあるけど、この力強さ、好きやわ~~。佐伯祐三は画家である、と、絵にほぼ興味なく真面目に公務員してた20年ほど前、ちょっと仕事がらみでインプット。美術館ひとり旅に目覚めた5年ほど前、島根県美で、あれっ、佐伯祐三や、こんな絵描かはる人やったんや、と記憶の引き出しオープン。暗ーい感の洋画やからか古い知り合いに出会った気分で妙に気になる絵。その後、岡山県倉敷の大原美術館でも出会ったり。たいがい写真撮れへんし、お気に入りはポストカードゲットしてて・・

島根県美のは福岡市美所蔵の「街」1927年(左上)・・ややこし。大原美の「パリ街景」1927年(左下)。エル・グレコは買ーてへんのに、よほどお気に入りやったみたい。ちなみに、右のおじさんは、佐伯ではなくて、ありし日の名古屋ボストン美術館で入手した、かのゴッホ作「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」。なんでか言うと・・

佐伯のはこっち「郵便配達夫」1928年パリ。ゴッホ好きやったんやて。病床にあったにもかかわらず、偶然自宅にやってきた新聞配達さんをモデルに、今でしょ、とばかりにササっ、と3枚ほど描き上げたらし。とてもこの年に亡くなったとは思えへんタッチ。約100年前、大阪に生まれて大阪、東京、パリの3つの街に生き、1898年~1928年、30歳の短くも鮮烈な生涯を終えた佐伯。1924年に初めてのパリ。一旦帰国して1927年に2度目で最後のパリへ。わずか4年余りに驚異的なスピードで描かれた作品群。同じ制作年ばっかなんで美術館が一括入手しはった日やろか、と二度見しちゃいました。それに、日本最大の佐伯祐三コレクションを有する大阪中之島美術館が1周年用に集めはっただけあって、ほんまに全国の美術館やら大企業からも集結。いやー、こんなよーさん見られるとは思わへんかった。見ごたえたっぷり大満足。

「立てる自画像」1924年。パリ時代に、モーリス・ド・ヴラマンクに作品を見せてボコボコにダメ出しされたショックで自らの顔をかき消した、という伝説あり、とTVぶらぶら美の山田五郎氏解説。

「パレットを持つ自画像」1924年。マジメな自画像やん。

佐伯祐三って、こんな人。会場にぶら下がってたのをパチリ。

「壁」1925年。西洋建築独特の重厚な壁を真正面から描いた絵。扉シリーズの前の、壁シリーズ。遠近法なくドーンと正面からの潔さ。好きやわー。

「コルドヌリ(靴屋)」1925年。パリの下町の店先を題材に、重厚な石壁の質感を厚塗りの絵具で表現。壁のパリ。

「下落合風景」1926年頃。一時帰国時代の東京・下落合の作品。繰り返し描かはったよーで下落合シリーズ数点あり。遠近法と空に伸びる電柱が目を引く。高層ビルなんてない時代やんね。

「滞船」1926年。大阪の姉の嫁ぎ先に滞在してたとき海に出かけて描いた滞船もシリーズ。マストの縦線が特徴的。これら電柱やマストからの「線」技法を持って、2度目のパリへGO。

「ガス灯と広告」1927年パリ。線のパリ。画面を埋め尽くすポスターの文字はリズミカルな線。人物も縦に引き伸ばされた線。この広告シリーズは結構よーさん展示。先にポストカードで紹介したパリの街もこの頃。

「煉瓦焼」1928年。パリから1時間ほどの小さな村モランへの写生旅行で最後に描いたもの。力強く太い線と正面からの構図復活。まとまった数の作品を描いたものの、2月の寒さ厳しくて体力消耗し病臥。順序逆になっちゃったけど、3月には扉シリーズ、郵便配達夫などを仕上げたのが最後になったようです。

今回の一番のお気に入りが、「レストラン(オテル・デュ・マルシェ)」1927年パリ。線シリーズのカフェ。座ってる人も線やしスマート。ちなみに、今回の佐伯作品、もちろん中之島美のが多かったけど、なぜか和歌山県美所蔵のがことのほか多かった。なんでやろ。それこそ一括購入しはったんやろか。これは和歌山行って調べてみんとアカンなぁ、などと思いつつ佐伯祐三終了。満足まんぞく。

ヤノベケンジ氏の猫がお出迎えしてくれる大阪中之島美術館。阪急梅田駅から歩いて20分強。ちなみに、今年1月に「大阪の日本画」展で訪れたんが最初。このかいわい何十年振りかやけど大丈夫やろと、同じく阪急梅田駅から歩いたら4、50分もかかってしもた。約1.6kmやのに。グーグルマップほぼ役立たず。いわゆる方向音痴的な。。。けどさー、世の中、歩く想定になってへんしなかなかに不親切やでー。まぁ、中之島は堂島やって認識してへんかった私もアカンねんけど。帰りは簡単、みな、大阪駅向かって歩かはるし。地下鉄や電車つこたらえぇんやけど、やっぱ、街、見てる方が楽しやん。おかげで美術館2つも見つけちゃった。さすが大阪やん。で、ランチもせんとササっと阪急で四条烏丸。お隣の府やけど、ひとり旅っちゅう程やないね。京都のつづき。