2022.07.23

京都・鞍馬寺、天狗と国宝・毘沙門天に会いに。

夏の鞍馬寺(くらまでら)。ふぅふぅはぁはぁ登る坂道、すぐバテるやろなぁ、と思いつつお出かけ。

出町柳駅(でまちやなぎえき)から叡山電車(えいざんでんしゃ)。乗り込んだのは展望列車「きらら」。大きなガラス窓で、東側はひとり席で、西側にはボックス席と窓側向きの二人掛けシート。鞍馬山も叡山電車も何十年かぶり。へぇ~、こんなんなってるんや、と展望ベンチシートをお試し。遠い記憶の沿線のまちの景色に見とれて、終点近くになってから、青もみじを思い出して最後尾からパチリ。

大天狗(おおてんぐ)は、鞍馬駅に鎮座。にらみをきかせてはる。静かな駅前を左折すると、数件のお土産屋さんの先に、石段と仁王門。

770年、鑑真和上(がんじんわじょう)の弟子である鑑禎上人(がんちょうしょうにん)が、この地に毘沙門天(びしゃもんてん)をまつらはったんが、鞍馬寺のはじまり。その後、平安遷都と同じころの796年に伽藍建立。平安時代は京都の北方守護の寺として信仰を集めたことから、人々と国を守る毘沙門天信仰の聖地となった。ちなみに、毘沙門天は、国家を守る四天王(してんのう)としてグループ活動するときは北方を守護する多聞天(たもんてん)と呼ばれ、ソロ活動の際には毘沙門天と呼ばれると、NHKのEテレでお勉強。

また、鞍馬山の天狗伝説・・鞍馬の奥の僧正ガ谷(そうじょうがたに)には、天狗の大将・僧正坊(そうじょうぼう)が潜んで森を守ってて、天狗は山岳信仰の守り神とされてる。この天狗に剣術を教わったのが、牛若丸(うしわかまる)こと源義経(みなもとのよしつね)という流れ。本殿金堂、多宝塔などは近年再建されたもの。律宗、真言宗、天台宗、古神道や修験道の要素も絡み合ったり、建物の焼失や再興などを経て、昭和24年に歴史ある信仰の流れを統一して、鞍馬寺は鞍馬弘教(くらまこうきょう)の総本山とされたとか。さて、カルチャーのあとは坂登り。鞍馬山ケーブルもあるけど、元気な人は、九十九折(つづらおり)参道を登りましょう、と案内あるし。

由岐神社(ゆきじんじゃ)。10月22日の鞍馬の火祭はこの神社の祭礼。この日は京都時代祭の日で、毎年ニュースはペアで報道。写真で見えにくいけど、鳥居の後ろの拝殿は、左右二つに分かれて中央に通路がある形式。桃山時代の代表的建築物で重文。さらに、その後ろには、老杉が天をつくよーにそびえてて、下から見上げると、まさに「天狗伝説のある霊峰鞍馬山に鎮座する由岐神社」との神社HPのままの圧巻の景色。ハァハァ登ってきた甲斐あった~。

老杉は御神木。約53m、樹齢800年。古くから「大杉さん」として親しまれ、一心に願えば願ことが叶うんやて。さて、ここからが、つづらおり参道の本番。すがすがしい山の気ただよう参道やけどキツイ。平安時代、清少納言が 「遠きて近きもの、くらまのつづらをりといふ道」 と綴ったらしけど、ほんまに、近いんいんかい、と思うほど遠くて汗だく。やっぱ、ケーブルにすべきやった~後悔。

本殿金堂に到着。千手観音菩薩・毘沙門天王・護法魔王尊(脇侍、役行者・遮那王尊)の御本尊は秘仏。写真の右手には狛犬ならぬ「阿吽(あうん)」の虎。本尊毘沙門天のお使いである神獣らし。

振り返ると、青もみじ、ナイス!。錦秋も見て見たい。

奥の院参道。さらに続く石段。

霊宝殿到着。鞍馬山博物館。1階は、自然科学博物苑の展示室。鞍馬山は大自然の宝庫にて。2階は、寺宝展観室と与謝野鉄幹・与謝野晶子の記念室。「鞍馬弘教」を開宗した信楽香雲(しがらきこううん)は与謝野門下の歌人であったつながりらし。そして、お待ちかね3階、仏像奉安室へ。

おぉ~。国宝・毘沙門天さん。平安時代後期のもの。カメラNGにて写真は入り口の看板。トチの木で彫られたこの像は、小手をかざしてはるか彼方を俯瞰する姿が鞍馬山独特。一般的に左手には宝塔を持ってはるんやけど。顔をしかめて「うーん、困ったやっちゃなぁ」みたいな表情で、ずいぶん人間味のあるお顔が、ちょっとステキやん。向かって右側が吉祥天(きっしょうてん)で奥さん。同じく左側が善膩師童子(ぜんにしどうじ)で5人の息子の1人。3体セットで国宝。そのほか重文・兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん・平安時代)は、異国風の鎧を身につけて怒りの表情。重文・聖観音(しょうかんのん・鎌倉時代)は、ほっそりした女性美など。3階だけでも見ごたえたっぷりな200円。

さらに先へと登り段。こんなことなら、早朝5㎞の清水ウォーク止めといたらよかったと、ブツブツはぁはぁ400m。よーやく到着・・

木の根道(きのねみち)。何十年か前に来たとき、とても印象深くてただひとつ覚えてた景色。この辺り一帯の砂岩が、灼熱のマグマの貫入によって硬化したために、根が地下に伸びることが出来ずに地表に現れたアラベスク模様。牛若丸も、木の根道で兵法修行をしたとか。鞍馬山ウォークここで終了。義経堂にも奥の院にも到達してへんけど、今回は、国宝を見て、懐かしい木の根道を確認したら目的達成。

下山にはケーブル利用。宗教法人鞍馬寺が運営する日本一短い鉄道。距離約200m、高低差89m。

お疲れさまでした。次回は、登りにこそ、ケーブル利用しよう。