2020.02.26

大津絵美術館ウォーク。心いやされる琵琶湖と「鬼の念仏」~京女のひとり旅8

歌川広重の「東海道五十三次・大津」

大津は近い。JR京都駅から大津駅までは2駅200円。嵐山よりもよっぽど近くて便利。京都のまちなかから琵琶湖疎水に沿ったウォーキングコースもあるけど今回はJR大津駅からのスタートで大津絵美術館まで片道約2km30分の大津まちなかウォーク。

琵琶湖の見える風景がステキな滋賀県。働く女子時代は高級大津プリンスホテルに年に何度か週末泊して仕事ストレスで疲れた心をいやしてもらいました。私の中では「いやしの大津」。

こんなん見れるんやったらお金払いますぅ、だったけど、リタイアしてストレスもお金も激減したので日帰り旅。

何度か大津のまちなかウォークもしてて、「大津絵の店」ではひょうきんで愛らしい「鬼の寒念仏」一筆箋もゲット済み。昨年末に京都駅の地下通路ストリートギャラリーで大津絵が展示されてるのを見て、そうだ大津絵美術館に行こうと。

スマホがあれば歩けるんやけど、とりあえず大津駅の観光案内所に立ち寄ってコースを聞きます。地元人が歩くコースとかおススメのスポットを案内してもらえるかしらと期待するんやけど、地元の人は歩かへん。歩く言うて、えっ、て顔されたら期待薄。今回も若い女子が最短コースをなんだか必死で案内してくれて、惜しいっ、と「ここらへん商店街だったよねぇ」とちょっと誘導。お局様やん、ゴメンね。そやけど、せっかく歩く言うてくれてんねやから地元の商店街くらいは案内しようよ、と商店街や観光振興行政OGは思ってしまうんですよね。

商店街アーケードを歩くと途中で京阪京津(けいはんけいしん)線に出くわします。そう、京都のまちなかからだと京阪電車で浜大津駅に着して歩くと大津絵美術館まで1km。歩きたい人、楽に動きたい人、車で移動したい人、自分にあったコースを好きなようにどうぞ。とにかく京都と大津は近いので。

大津絵美術館は園城寺(三井寺)の隣、門跡寺院「圓満院」(えんまんいん)の中にあります。圓満院門跡は平安時代の創立らしいです。

大津絵は東海道五十三次の大津宿で、約390年前に街道を行きかう旅人等に縁起物として神仏画を描いて販売されたのが始まり。信仰の対象として描かれたものが、次第に江戸庶民の生活に即した願望や風刺をこめ、形や技術も定まったものを迅速に描くための省略系で量産されていたもの。芸術家ではなく職人が当時の庶民の意向に沿って描いて人々の心をいやしたり護符(お守り)として持たれていたもの。そしてそれを継承する人たちが京都駅ストリートギャラリーで年一回作品展示されているようです。

ユニークな大津絵。奥の方の孔雀図は円山応挙とか。豪商三井家が応挙のパトロンで、応挙がこの院で修行していた時に描いた絵の勉強のためのお手本なるものもありました。

応挙作。追加しときます。

購入したポストカード。大津絵の鬼は人の愚かさや邪悪さを象徴。上左「鬼の念仏」は鬼が僧侶の身なりで勧進を行う。形だけの善行、偽善をなす人を風刺。護符としては子どもの夜泣き防止ですって。上中「藤娘」女ざかりの美しさはかなさを明示。良縁。上右「釣鐘提灯(つりがねちょうちん)」両者の高さが現実と逆さ。考えが足りない本当の値打ちをさかさまに扱う人を風刺。下左「鬼の行水」赤鬼が風呂桶に片足を入れて入浴しようとしている。体を洗っても心を清めない人。下中「雷公」太鼓を落とした雷が身を乗り出して吊り上げようとしている。大事な商売道具を取り落とすような粗忽もの。大切なものをなくしてもあわてるなと。下右「猫と鼠」本来食べ、食べられる両者が酒盛り。目の前の餌も取らずに遊び呆けるさまと喰われることも知らずに呑気に酌をしているさまをあらわす。なんだか身につまされるものばかり。買い求めた江戸時代の人々の気持ちわかります。自宅ミニキャラリーにときどき出して戒めにしよう。

さてランチは、商店街近くの「お食事処アケミ」。3回目でお気に入り。スナックのような名前やけど長いカウンターにいつも滋賀県民がズラリ。この日は鳥羽産カキフライとビール。レモンは広島のオーガニック。私はいつもレモン食べてしまう人なのでうれしい!。ぶり照りとか一品もあり隣のちょっと年配女子はオムライス食べててて・・また来ようっと。

数年前にリニューアルされた大津駅のスタバで一休み。写真には写ってないけど正面には琵琶湖が見えます。この日は空も琵琶湖も青かった。駅前には大津プリンスホテルの無料シャトルバス乗り場があって、雪の日や真夏にときどき利用しました。なんせ15kmほどなのにお盆や花火の頃は国道1号線の車渋滞で2時間ほどかかるんやから。移動手段すべてなんども経験済みの常連です。いやほんまにお世話になってます。

商店街には大津祭曳山展示館、お漬物屋さんやおばんざい屋さんがあって利用したこともあるけど、やっぱりちょっと寂しいのが悲しい。まあまた来よっと。なんせ「いやしの大津」。疎水沿いの桜やツツジももうすぐやね。