2022.06.21

山口県・萩、世界遺産と城下町と松陰をめぐる~京女のひとり旅32

山口県、萩市の萩城跡(はぎじょうあと)。九州旅の帰路、いよいよ本州へ戻ってきました。

キレイな三角形の山が指月山(しづきやま)。約400年前、関ケ原の合戦のあと、毛利輝元(もうりてるもと)がこの山のふもとに萩城を築城。以後、明治維新までの約260年間、長州藩の城下町として発展。石垣と堀の一部しか残ってへんけど、えぇ景色やね。

まわりは日本海。空も海もナイスなブルー。萩城下町は、江戸時代の古地図でまち歩きできるほど、往時の町筋がそのまま残るまち。

白壁、なまこ壁が美しい菊屋横町は、日本の道100選に選ばれてるとか。

観光パンフによく登場する、木戸孝允(きどたかよし)の旧宅。

高杉晋作(たかすぎしんさく)の誕生地。幕末・維新の志士たちの屋敷や石垣なども状態良好。そして、2015年、「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産登録された全国8県11市の資産。萩にはそのうち5つがあって、萩城跡、萩城下町も、幕末に日本が産業化に取り組んだ地域社会、政治・行政・経済をもっともよく表している遺跡として世界遺産登録。ところで実は、この抜けるよーな青空のもと、萩ウォークを楽しんだのは、昨年10月のコロナ自粛明け。と言うことで、今年、九州からの帰路に立ち寄った萩ウォッチングのメインは、まさに明治維新の原動力となった東萩の松陰神社エリア。萩へ来る途中の道の駅で入手したパンフに、100円均一の「萩循環まぁーるバス」を発見。これは乗らねば、とホテルに車を置いてバス停へ。

松陰神社の石造りの大鳥居。右側の少し右上がりの「松陰神社」の文字は、松陰の自筆の文字から抜き出したものらし。吉田松陰は、萩藩士の次男に生まれ、兵学(へいがく・軍学)師範の家へ養子に出されて、吉田家を継ぐ。英才教育を受けて修業し、わずか11歳でお殿様への御前講義(ごぜんこうぎ)。全国遊歴の旅へも出かけ歩いた距離は13000km。黒船来航に便乗して 海外密航を試みるも失敗し投獄。獄屋敷でも勉強、 たくさんの本を読みつつ、教えを請いに集まってきた親類や近所の若者に講義を開始。獄を出たのち叔父の松下村塾を継ぐ。身分や階級にとらわれず塾生として受け入れ、わずか1年余りの間に、のちに明治維新の原動力となり、明治新政府に活躍した多くの逸材を育てることになるが・・。幕府政治を批判して再び投獄。安政の大獄(あんせいのたいごく)・・井伊直弼(いいなおすけ)による攘夷派や一橋派への弾圧によって処罰・処刑され、満29歳で生涯を終えたとのこと。

世界遺産の「松下村塾」。当時、この地域が松本村と呼ばれていたことから名づけられた。

三畳半の幽囚室。

講義室。

吉田松陰の辞世の句碑。「親思う こころにまさる 親ごころ きょうの音づれ 何ときくらん」。死を覚悟した松陰が両親にあてて書いた別れの書簡中の句。親思いの松陰は、子供である自分が先に死ぬことになり親に先立つ不孝を詫びる気持ちを詠んでいる。

松陰神社の特大絵馬には、毎年、松陰と明治政府などで活躍した塾生が描かれているらし。一通り見学してバス亭に戻ると30分待ち。ランチ処を探しつつ城下町方面へウォーク。お店を見つけた頃にはヘロヘロで空腹。本能的なチョイスになってしまいました。

循環バスのバス停も見つからなくて、結局、城下町まで歩くハメに。まちなかにスーパーを見つけて買い物し、萩バスセンターから循環バスの東萩駅行きに乗車。お城あたりまでぐるーっとまわるバスやったけど、どのみち100円。無事にホテルへ到着。車なくても、そこそこ便利なまち、やん。

翌朝は車で、まちから少し離れたスポットめぐり。萩市内を一望できる場所にある、吉田松陰誕生地。家はないけど間取りの敷石が残ってます。真面目そーな松陰と塾生の像。

幼き頃、松陰が見た景色。指月山が見えてます。

世界遺産の萩反射炉(はぎはんしゃろ)。西洋式の鉄製大砲鋳造を目指した萩藩が、試作的に築いた反射炉の遺跡です。高さ約10m。そーいえば、同じく近代世界遺産で登録された、静岡県伊豆の韮山反射炉(にらやまはんしゃろ)へも、ずーっと昔にお出かけしたことあったっけ。

世界遺産の恵美須ヶ鼻造船所跡(えびすがはなぞうせんじょあと)。萩藩の造船所の遺跡。幕末にロシアの技術とオランダの技術をそれぞれに用いた2隻の西洋式帆船がつくられたとか。幕末の帆船の造船所で、唯一遺構が確認できる造船所であることが評価された、と説明されてます。

萩の旅、最初、数年前には新幹線。新山口駅に連泊して早朝6時台のバスで、約2時間かけて8時に萩バスセンター着。商店街から城下町ウォークと美術館とランチビールしてお昼12時頃発のバスでホテルへ。どんだけせわしない旅やねん。去年は、お隣島根県の益田市に連泊して、車で萩観光。萩には絶景夕日の豪華旅館しかないんかと宿泊あきらめてたら、東萩駅前にビジネス的ホテルを見つけて今回お試し宿泊してみました。眺め良し、循環バスも得点高くお気に入りです。さらに、数年前に買ったまま放置してた、新書「吉田松陰とその家族」も、よーやく手に取って一気に読破してスッキリ。秋晴れの日にでもまたまた萩へお出かけして、フォトジェニックな角島大橋(つのしまおおはし)へも足を延ばそかなと、思ってます。