2023.08.06

暑っつ!
東京都美術館「マティス展」へ~京女のひとり旅50

一部、カメラOKのサプライズあって、なんやうれしい。写真でも撮ってゆっくりしいや、って言うてはるよーな。東京都美術館「マティス展」。20世紀を代表するフランスの巨匠、アンリ・マティス(1869ー1954年)。東京都美、春先のエゴン・シーレ展も一部撮影可やったし、学芸員さん、折衝が上手なんやなー。

東京都美の名物、巨大チラシ。けど、これはちょっと惜しいっ。ブルーな絵に青空が写り込んで、よーわからへん。

デカチラシは右側。《金魚鉢のある室内》1914年。これはカメラNGでグッズのクリアファイル。マティスのアトリエ。室内、開放的な窓、金魚鉢・・3つのモチーフ。金魚鉢の水から外のセーヌ川へとブルーがつながる。ピカソの、青青の時代、を思わせるよーなブルーな絵、ちょっとステキやけど、主役は金魚鉢ん中の赤い金魚。マティスと言えばの「赤」。なので、チラシのメインビジュアルは左側の赤い絵。

《赤の大きな室内》1948年。70歳代、大病で油彩画の制作が難しくなってきた頃のマティス、南仏ヴァンスの室内画シリーズ最後の作品。油彩画の到達点とも言われてる。形の異なるテーブル、窓のように見えるカラーとモノクロの絵画、そして動物の敷物も2つ。これら対比が絵の中に緊張感を生み出してる、との解説。赤、ってエネルギッシュ。元気でるよねぇ。なのにユーモラスで力の抜けた感。けどこれ、極限まで筆数を減らしたマティスのワザなんやて。

《マグノリアのある静物》1941年。先の赤い絵の数年前。肩ひじ張らないけど、力強い赤の絵。これも70枚近いデッサンのあと、あえて少ない筆数で描かれたもの。展覧会場には下書スケッチたくさん展示。花瓶後ろの丸いのは鍋。なんやおもろい。大戦中のナチスドイツや自身の大病、暗い状況下を感じさせない作品たち。「私が夢見るのは、すべての人の心を癒す、よい肘掛椅子のような、芸術である」とマティス。他の美術館で出会うマティスも癒し系。ポストカードあったら買うてます。


大病を患ってからの晩年、絵筆にぎれずハサミを使った切り紙絵を開始。「生き延びて、私は自分流にやれるようになりました。私の作品からは、一層喜びがあふれるように、見えるかもしれません。」と。さらに最晩年は、光を駆使したステンドグラスや壁いっぱいに描かれたドローイングで、光・色・線が融合する「ロザリオ礼拝堂」を創出。「私の礼拝堂に入る人たちが、清められて、背負っている重荷をおろしたような気持ちになってもらえたら、と願っています」とも。雑誌・日経おとなのOFF、やったかしら、お正月の美術展特集の付録、マティスのミニクリアファイル。濃い色彩のブルーとグリーンのデザインにイエローのアメーバ的な・・上写真の右側のデザインに似たやつ・・ロザリオ礼拝堂ステンドグラスの4K映像展示見て、あっ、これやったんやー、とよーやく理解しました。肩の荷が下りた・・いやいや、何も背負ってへんし。

一気に晩年に行き過ぎちゃった。ちょっと戻って・・・

左《豪奢、静寂、逸楽》1904年。30歳代、新印象派のポール・シニャックと親交しチャレンジした点描画。水浴を主題にして、まばゆい色彩と激しい筆致。売れなかったマティスが覚醒した転機の作品。日本初公開で目玉らし。右《豪奢1》1907年。左の絵から引用された女性たち。これ、ヴィーナスやて。今までにない20世紀的な自由な色彩・自由な構図やと、Eテレ日美で解説してはった。そりゃ、これがヴィーナスならビックリされるやろ。「芸術家の役目は見たものをそのまま描きとることではなく、対象がもたらした衝撃を最初の新鮮な感動とともに表現することなのだ」とマティス談。

《赤いキュロットのオダリスク》1921年。きらびやかな装飾の室内とエキゾチックな衣装で気だるそうに横たわる女性。

《夢》1935年。空色のシーツ。まどろみ。助手の幸せなひとときをとらえたもの。お気に入りのモデルやって。ほんまに気持ち良さそーやなぁ。

《緑色の食器戸棚と静物》1928年。えぇ色やん。

《鏡の前の青いドレス》1937年。

《ラ・フランス》1939年。なんや懐かし気がする思たら、ひろしま美術館所蔵のやつやった。見た気がする。こういう女性たちのマティス、よー見かけるね。明るくて楽しそーな感じで、お気に入り。

《黄色と青の室内》1946年。南仏ヴァンスの室内画シリーズの第1作。マティスが平面的で装飾的な色彩画家としてスタイルを確立するんは、第二次大戦中に南仏に移住してからのこと。最後の室内画シリーズは赤やったね。構図や色彩に実験と探求を繰り返したマティス。開放的に開いた窓の絵にはやさしい色彩が踊るけど、《コリウールのフランス窓》1914年、第一次大戦中の心理的な闇を描いた窓は、唯一黒く塗りつぶされてました。写真撮れんかったし、カード買う気もしーひんかった悲しい作品。とは言え、色彩の魔術師マティス、絵画や切り紙絵、安らげる楽しいマティスには、またどこかで出会えるでしょう。夏休み中、結構よーさんの来場者。コロナ以降はたいがい予約優先やし、そこは安心。

不忍池(しのばずのいけ)には、ハスの花。お昼前、花は終了してた。

暑いので、とりあえず飲み物。上野公園横の2階、喫茶室「銀座ルノアール」。東京の昭和レトロっぽいし、ここなら外国人や若者おらんやろと入ってみた。12時までOKのモーニング。ハハッ、名古屋やったら終日モーニングやのに、などとどーでもえぇこと思いつつほっこり。なんせ暑かったんで。

 

<やれやれ・・>

東京駅から上野・東京都美まではウォーク。往復。片道4km強・1時間弱。京都よりはマシ言うても暑っい真夏。こんな時期にチャレンジせんでえぇのに。せっかく新幹線の東京やし観光とか美術展ハシゴ・・めんどいし、もうそんなこと思わへん。現役時代の東京出張みたい。誰も旅費出してくれへんけど。で、さすがに時間に余裕できて歩くん好きやし東京ウォッチング。過去に品川から東京駅までは2回ほど歩いて美術展ハシゴした。東京って、ビルばっかでおもろないけど、交通インフラが整備されてて少々方向音痴で迷ても電車の駅見つけたらすぐ修正可。ある意味、大阪より歩きやすい・・って、大阪はもともとごちゃごちゃ、かな。さすがに暑~て、東京駅にほぼ倒れ込んでしまった。ビールしてへんで良かった。。。ってか、新幹線ずーっと外見てたい人やし、眠くなると困る。2時間10分ほどじーっと通り過ぎる、まち・山・川見てる。次どこ行こ。品川、新横浜、浜松のタワーホテルにも泊したなぁ。掛川城、静岡や三河安城は昔ツレアイと行ったし。名古屋や米原は最近常連やけどどうかしら、などと考えてたらあっという間に京都着。本も読まず、食事もビールもしーひん、もう車といっしょ。けどワクワク楽しい。晩年のマティス気分やね。ブログに喜びがあふれてるやろか。