2024.05.02

漣・・さざ波。ちょっとポップな日本画~「福田平八郎」展・大阪中之島美術館

えっ、行列?GW初日の土曜日、日本画展なら混雑せんやろ、ちょいナメた気分のお出かけはアカンかったか、と思いきや、行列は隣の「モネ」展。やれやれ。がしかし、1か所のチケット発券機には20分並ばされた。まぁ、この程度はしょうがない。当日券でえぇやろってダブルでナメてたんやし。福田平八郎(ふくだへいはちろう。1892~1974)、好きなんすよ。大分県の人。どうせなら大分でやってくれたらうれしかった、て思たら、次は大分に巡回するらし。九州旅、マジ行こかなぁ・・・。「没後50年・福田平八郎」展。カメラOKが数点あったんで。。

「漣(さざなみ)」1932年。メインビジュアル。銀地に群青だけで一瞬の美をとらえた代表作。金箔の上にプラチナ箔を重ねてるらし。唯一の重要文化財が中之島美が所蔵するこれやし、ここでの開催になったんかな。けどさすが大阪。充実のラインナップ。大分市に生まれ18歳から京都で学んだ日本画家。さざ波は琵琶湖。湖北で釣りしてるとき、水面のさざ波の美しい動きに気づきがあったとか。わたし的には美術館に興味を持ち始めた数年前に名古屋の名都美術館で初見。そのときは、あっ、そー、やったけど、その後京都市京セラ美術館で再会したとき、これ、なんかおもろいやん。蕪村や応挙や松園らに囲まれたうえにメインビジュアルでもなかったのに注目。呑気な太公望、京都画壇の諸先輩らと戦える独自路線を釣り上げはったよーや。では、平八郎ストーリー。

安石榴(ざくろ)1920年。28歳。模索中の頃。上手やとは思うけど、あんまり楽しい絵やないね。ゴメン。本人もそー思わはったんか、それから徐々に形態を単純化した独自の装飾的表現へ。で1932年、40歳で発表された「漣」で自分スタイルメっけ。

「新雪」1935年。庭石に降り積もった新雪。白をただ重ねたんやなくて、明るめの紫を30回重ねて下塗りしてから、胡粉(ごふん)という貝殻から作った白い絵具を、トントントントンと刷毛(はけ)で叩いてのせた、と説明。この絵、かなり好み。

「竹」1942年。ポップでとってもお気に入り。写真NGやったし、所蔵する京都国立近代美術館で以前に撮ったやつを貼り付け。クリアファイルとマグネット買っちゃった。ここで買わんでも京都の国近美で買えるんやけど。。。「竹」テーマは他にも展示されてて、どれも独特の大胆な色彩。

「カーネーション、百合」1942年。わかりやすいお花や葉っぱ。色がまた楽し。

「雲」1950年。日展に出品されて賛否両論、平八郎は何も語らずそのまま60年仕舞いこまれてた絵やと、Eテレ・日美で説明してはった。第二次世界大戦後、日本文化が否定された時期。西洋画に押されて日本画も危機的な状況のなか、平八郎は日本画にこだわったと、平八郎を研究する大分県立美術館の学芸員さん言うてはった。空が深くて青い。「漣」の転換以降、ピカソや西洋画の模写で斬新な表現をしてみたり新しい日本画を探求。このブルーも当時日本画では使われない化学染料にチャレンジしてるらし。夏の入道雲そのまんまやん。何を否定されることがあったんやろ。

気を取り直して「鮎」1950年。これも写真NGにつき京都国近美で撮ったやつ。呑気な鮎が好き。煮るなり焼くなり好きにして・・見え方おかしやろか。おいしそーやん。京都の美術館、最近、京都ゆかりの画家のはカメラOKにしてくれること多い。よしよし。

「氷」1955年。そー言えば氷。愉快じゃーん。上から見た絵らしでっせ。抽象画っぽくてライト。飽きひん。ホテルの部屋とかこういう超ライトな絵飾ってある。頭の中やカラダもライトになって癒される感。平八郎、時代の先取りじゃん。

「桃」1956年。平八郎の桃の絵、結構よーさんあってどれもかわいい。桃がお盆に写り込んでるんがまた上手やん。平八郎の静物画はとってもわかりやすいし、お気に入り。

「水」1958年。神秘的に揺らめく水、上から見てる的な。水も楽しそー。

「花の習作」1961年。これは京都国近美のやつ。展示されてたんは、「花の習作(春日)」で呉市の蘭島閣美術館のやつやったけど、ほぼ一緒やし、貼り付けてみました。平八郎は、1961年を最後に日展への出品を止め、以後は、小規模な展覧会に心のおもむくままに描いた小品を発表。晩年になるにつれて、形態の単純化が進み、線も形も色彩も細部にとらわれない大らかな造形へと展開、やて。

「海魚(かいぎょ)」1963年。もはや自由すぎ。マティスも真っ青的な色使い。白いタコ、黄色はウツボ、何より魚が緑なんがえぇやん、超マズそー。20年前に行った和歌山の白浜水族館の写生を基に描いたとか。

最後に「鸚哥(インコ)」1964年。写真NGやったしカード写真でゴメンやけど。名古屋の名都美所蔵のコレクションで初見したやつ。カラフルインコ見てると楽しなってくるんで、お家でもときどきディスプレイしてます。いろんな時代をくぐり抜けてたどり着かはった自由な日本画。のびのび感満載。ひょうひょうと書かれてる「平八郎」の署名も味あるよね。ふふふっ、ブログ書いてたら、また見たなってきた。大分県美行き、検討しよっと。