2022.04.06

ちょっとかわいい虎たち~京都嵐山・福田美術館の「トラ時々ネコ」展

私のお気に入りのトラ、曽我蕭白(そがしょうはく)の「虎図」。ニンマリと決めポーズ。福田美術館の企画展「トラ時々ネコ~干支(えと)セトラ」へお出かけ。

初見は、去年の秋頃に開催されてた、福田美の別の企画展「京(みやこ)のファンタジスタ」。江戸中期の頃、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)らと同時期に活躍した、与謝蕪村(よさのぶそん)や円山応挙(まるやまおうきょ)ら、多彩な日本画家たちの作品をラインナップ。蕭白のトラも展示されてて、この時代の日本にはトラがいなくて、中国のトラの絵をお手本にしたりネコを見て描いたんで、表情や動きが、ちょっとネコです、と説明あり。へぇ~、そーなんや、けどちょっとおもしろいやん、との思いは、まんまと福田美の思惑にはまったみたい。新春からの干支の企画展は、時々ネコになるトラだよーん、をクローズアップ。カメラもOKやし、福田美って、嵐山の観光客層にも楽しんでもらえるよーに、格式張らずに日本文化をアピールしてはるな、と感心。

左のオチャメなトラは、長沢芦雪(ながさわろせつ)の「猛虎図」。右の人なつっこく近づいてくるのは、円山応挙「虎図」。そして・・

応挙のトラにいたっては、顔の部分にネコの顔をはめ込むと、あなたのネコもトラになれるよ、とのチラシやデータのサービスもあり。応挙の絵を切り取って遊べって、なんと大胆で、おもろい。

与謝蕪村の「猛虎飛瀑図」。これぞネコ科のしなやかな動きと、とても猛獣には見えない愛嬌のある表情。笹がたなびく様子で後ろの滝の爆風を描くところは、さすが蕪村。

建部凌岱(たけべりょうたい)の「虎図」。肩をいからせ大目玉でにらみをきかせてもカワイイ、トラ。

福田美の解説によると、トラはインド、中国からロシア、東南アジア一帯に生息するネコ科の動物で、中国や朝鮮半島では、武勇や王者の象徴とされていた。トラの生息していない日本でも、龍とともに霊獣とされ、絵画や工芸品などの意匠として用いられてきた。江戸時代の画家たちがトラを描くときに参考にしたのは、中国などから輸入された毛皮や絵画であったため、頭のすぐ後ろで肩が盛り上がっていたり、前脚の関節がなかったりと不自然な姿をしている。よく分からない部分は実際に観察できるネコを参考にしていたため、ネコのようなトラ「ネコトラ」がたくさん描かれた、とのこと。で、やがて明治時代に入ってトラが動物園で飼育され始めると、多くの画家が写生に通い、写実的なトラを描くようになったとか。なので、竹内栖鳳の時代になると、実物を見て描いたトラ。

大好きな栖鳳で、きっと上手なトラ図なのに、なんか残念。さらに、虎の翠石(すいせき)と言われる日本画家・大橋翠石の、とてもとても写実的なトラ図もたくさん展示してあったけど。。。私のお気に入りにはなりませんでした。ちなみに・・

尾形光琳の「竹虎図」を掲載した、京都国立博物館の新春のトラ企画展のチラシ。これもネコトラやね。京都のトラ図、古いほど面白いってことやん。また探してみよっと。ちなみに、福田美では、ほんもののネコ図の展示もあり。

左は、つぶらな瞳を向けるまさにネコ、川合玉堂(かわいぎょくどう)の「紅梅猫児」。右はおなじみのおネムさん、速水御舟(はやみぎょしゅう)の「春眠」。

田中訥言(たなかとつげん)の、このじゃれるネコを見本にトラを描いたら、そりゃ、かわいくなるよねぇ~~。

福田美の、さらにユニーク企画。トラ人気投票。参加型っていいね。甲乙つけがたいけど、やっぱし蕭白に一票。

入れ替え後の後期展示でも。こっちは蕪村に一票。結果は福田美のHPで紹介されてます。写実的なんが好きな人、やっぱ多いんや。

帰り道、嵐山駅で、またまたトラ発見!。寅年にちなんだラッピングの、嵐電「しまじろう」号に乗車。~こいつぁ、春から、縁起がいいわい~。