2023.04.21

富山県美術館「棟方志功展」へ。満開の桜と海鮮丼も~京女のひとり旅46

「弁財天妃の柵(べんざいてんひのさく)」。ぽっちゃり大首絵は代表的カテゴリーの一つ。富山県美術館「生誕120年、棟方志功(むなかたしこう)展~メイキング・オブ・ムナカタ」もカメラOK。富山県美開館5周年記念の最終企画展。去年の「ミロ展」はコロナ禍と大雨の夏やったけど。3月末、とにかく桜の京都脱出しちゃおーっと、の旅、敦賀からの第2弾。満開の富山。ソメイヨシノは京都なんかよりよっぽど元気やで~。

鉄板のお城とソメイヨシノ。232年続いた加賀百万石の支藩・富山藩10万石の歴史が残る富山城址公園。まちの真ん中。

上から見るとこんな感じ。定宿からのスポット。フフッ。富山駅はビルの向こう。見えてへんけど徒歩20分弱。ってか、歩かんでも路面電車あり。さらに向こうの青空の下は富山湾。もち、海・岩瀬浜(いわせはま)へも未来的デザインの路面電車・ポートラム走ってます。北前船のまちには裕福なパトロンさんがぎょうさんおったし、と、数年前に読んだ「富山から拡がる交通革命 – ライトレールから北陸新幹線開業にむけて」(森口将之著・交通新聞社新書)に書いてあった思う。

富山城址公園のそばを流れる松川では、桜の観光クルーズに、よーさんの人。松川は、富山城を守った天然の外堀・神通川(じんつうがわ)の名残りなんやて。今の広大な神通川は、まちのすぐ西側をゆったりとまっすぐ富山湾に向かって流れてるけど、昔はまちなかを蛇行してたんやて。こんなんたびたび洪水されたら、ひとたまりもなさそーやんと思いをはせつつ、川にかかる全長466mのデッカイ富山大橋をウォーク。例によって地元の人はほぼ歩いてはらへんけど、神通川土手の桜並木も超満開やったんで、ちょっと回り道して県美へ。

ふぅふぅ。桜の県美、到着。

「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家・棟方志功(1903~1975年)。

こんな包装紙とか。そーいえば、ふっくらお顔見たことあるよーな。青森市生まれ。文芸誌「白樺」に掲載のゴッホの口絵「向日葵(ひまわり)」を見て、「ゴッホになる」と油彩画家を志す。その後に魅せられた木版画を制作するよーになり、黒と白を基調とした独自の表現スタイルを見出したらし。

油彩画。セザンヌなど後期印象派を学んだことが感じられる「八甲田山麓図(はっこうださんろくず)」(1924年・左)

《大和し美し(やまとしうつくし・うるわし)》「倭建命の柵(やまとたけるのみことのさく)」(1936年)。ヤマトタケルノミコトの一代記の長編詩がモチーフ。柳宗悦(やなぎそうえつ)ら民芸運動の作家たちとの出会いのきっかけとなった。ちなみに・・「一生の間、生涯の道標をひとツずつ、そこへ置いていく。作品に念願をかけておいていく。柵を打っていく、そういうことで『柵』というのを使っているのです。この柵は、どこまで、どこまでもつづいて行くことでしょう。際々無限に」・・と言うてはります。

《二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)》の部分(1939年)。右は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)。これは日本民藝館蔵のやけど、同お題の東京国近美蔵のが、ヴェネツィア・ビエンナーレに出品。黒と白のコントラストによる力強さが素晴らしいと国際的な評価を確立したんやて。宗教モチーフの作品多数。富山県には富山市のお隣の福光町(現・南砺市)に第二次大戦後にしばらく疎開してた縁もあるんだとか。

「鍾渓頌(しょうけいしょう)」(1945年)。河井寛次郎の京都五条坂にある鐘渓窯からの命名らし。全24図。現実世界の此岸(しがん・右上)から中岸(真ん中あたり上)を経て理想郷の彼岸(左下)へ至る道程を3図の羅漢で表し、黒白の市松模様になるよーに人物を配してると解説。人物は女子みたい、胸がデカいし、作品そのものもデカサイズ。う~~ん、解読不能。けど、シックな色彩がキレイ。

宮沢賢治の「雨ニモマケズ・・・」。詩や童話の作品も。

ちょっと大胆な挿絵。ガラス越しのショットで見えにくいくらいが平和かも。1956年「中央公論」に掲載された、谷崎潤一郎著「鍵」の挿絵。谷崎潤一郎とは深い親交を持っていて、挿絵は全59柵もあるんやて。それだけでストーリーが追えるやん。

そして「弁財天妃の柵」(1965年)。胸から上の顔のアップ、大首絵の傑作。背景の赤が弁財天の白を引き立ててる。この色彩豊かな美人画が大衆的な人気となり、1970年に文化勲章を受章してから、さらに包装紙や切手にと使われるよーになった。

「花矢の柵」(1961年)。青森県庁舎の竣工を記念して壁画として制作されたデッカイ版画。元気でる絵やなぁ。京都府庁の玄関にもこんなんあったら、今日も仕事がんばろ、てなった思う、たぶん・・惜しいっ。

「雑崋山房主人像図」(1942年)。丸眼鏡が印象的な自画像。

こんな自画像も。楽しい、やん。

ゴッホの「青い女図」の前に立つ、自画像ムナカタ。100点以上の展示。なかなかに解読困難で印象にも残りづらかったけど、全体的に癒される画風やったなぁ。そやし、商業用途にも多用されたんやろね。青森、東京、富山、ゆかりの地も多いみたいやし、またどこかで作品に出会えるでしょう。楽しみ増えた。

お約束の海鮮丼。おなじみ富山駅ビルの「八兆屋」。敦賀で食べたやつの半値やし、さらにお手軽。

富山1日目は、まちなか総曲輪(そうがわ)通り商店街近くのイタリアン「オカテリア」。パスタをピザにするんは、片手で本を読みたいから。へへっ。平日ランチタイムもイタリアンのお店は女子が多いし気楽。隣テーブルの4人の女子会ランチの人ら、チラチラ見てはって、ビールすんまへんなぁ、かな思たら、一通りランチ食べ終わらはって追加オーダー。デザート追加と思いきや、ビールとピザ注で昼飲みに移行しはった。ママ友?なっ、飲まんとやってられへんやろ。。。けど、私の現役時代のランチにはビール付かへんかったでーと思いつつ。まぁ、旅は、楽しおす。